第六話 針山の針って細いイメージだったけど意外と葉っぱっぽい。
はじめての二千字。
鬼のセリフ読みにくくてすいません…
黒がなくなり、辺りの景色が見えたとき、俺はついあ然としてしまった。そう。そこには、よくアニメとかでえがかれる、地獄の光景が広がっていた。
普通の人なら、この光景を見たら絶望するだろう。
だが俺は違う!この景色も、俺からすれば大きな変化なのだ。同じ光景がずっと広がっている無限地獄よりもずっといい。
次にやるべきことは、地獄を抜け出すことだ。
と、いうと思うだろうが違う。
地獄の苦行は俺からすればスキルの山! 大罪スキルばんざい!
強欲ありがとう!おかげで強くなれる!あの女に復讐できる!
強いらしいから、今のままでは不安だったのだ。十分強いけど。
まあいい。取り敢えず、針山地獄にでも行くか。近いし。
「オイ!ナニモノダ!トマレ!」
突如遠くからカタコトな声が聞こえる。
「オイ!オマエダ!ハナシヲキケ!」
「あっ、俺?」
「ソウダ!」
どうしよう。逃げるべきか、殺すべきか、無視するべきか…。
面倒いし、ここで…
「ン?オマエ、イヤアナタカラ、ムゲンジゴクのエネルギーヲカンジル…モシヤジゴクノジュウニン?」
え?こいつ俺のこと住人と勘違いしてる?よし、ここはごまかそう。
「そうだぞ。知らなかったのか?」
そうやって、どうせ誤魔化せないだろうと思いながら言ったのだが、
「ヒッ!スミマセン!ワタシハジゴクノジュウニンヲミタコトモキイタコトモナイノデス。ダカラ…」
「解った。もういい。仕事に戻るといい。じゃなきゃ殺すぞ!」
最後はちょっと怖がらせるために威圧を使いながら怒鳴りつけた。
「ス、スミマセン〜!」
いや、ビビらせようとは思ったけど、こんなに泣くとは…傷つく…
「まあいい!気を取り直して針山へ!」
なんだろう。文にしたらただの変人…
気にしたら負けか。
ていうか、そんなことを考えてたらもうついた。意外とでかい。
それに、ほんとに山みたいだ。全部刃でできているが…
「さて、これをどうやってスキルにするか…鑑定するか!」
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名称 刺殺針山
能力 地獄にのみ存在する針山。スキル化した場合、自由な位置に針を無尽蔵に出せる。獲得するためには、針山の山頂まで登らなくてはならない。
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ん〜。ナニコレ。登り切る、ねぇ。
「無理だろ!!!」
いや、俺の防御力なら行ける?でも、ね?体力が…もつか。ならいい。登ろ。
「キサマ!トマレ!ヨクモダマシタナ!」
いざ登ろうとすると、さっき騙した鬼(赤)が仲間を連れてやってきた。バレて無かったのに何故バレた…?
「ナカマニオマエノコトヲハナシタラ、ジゴクノジュウニンハシャベラナイトイッテイタ!オマエ、ウソツイタナ?オマエナンカエンマサマニシタヲヌカレテシマエバイイ!」
いや、あいつら一応喋るよ?言語理解無いと何言ってるかわかんないけど。それに、
「俺、今から針山登るから、許してくんね?」
「ハ?」
もともと登るつもりだったし、登って解決するならそれでいいと思う。楽だし。
「バカヲイエ!ダマサレンゾ!ハリヤマヲノボレルノハ、ワレワレノナカデモイチブノミダ!キサマニノボレルハズガナイダロウ!」
ウゼェ…こいつ人の話し聞かねぇ…会話になってねぇぞこれ…
「あ、そう。ならそれでいいけど、俺登るからね?じゃぁな。」
そう言って針山に片足を突っ込む。やっぱり針は刺さらない。防御ばんざい!
「ナ…ナゼノボレテイルンダ?オカシイナ、ユメカコレハ?」
いいえ、現実です。まあ、こんなにモブキャラ感半端ないヤツは無視してレッツゴー!
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「結構登ったけど、まだ終わんねぇのか。体感だが、もう数十kmは登ってると思うぞ…」
体力の問題はないが、精神的に辛い。それに、
「イタゾ!ヤツダ!コロセ!」
あの鬼の仲間が大量に来る。正直ウザい。スキルの練習になるのだが、やっぱりウザい。
することもないので、スキルの説明をしよう。
まずは放雷。このスキルは名前の通り、雷を放つ。それだけの技だが、魔法じゃないので、魔法解除は効かない。魔力の色によって雷の色も変わるので、俺のは黒だ。
次は波動衝砲。これはかなりありがたい。というのもこのスキルは、俺の物理攻撃ダメージ分の衝撃を相手に与えるものだから、
いちいち移動しなくて済んで楽なのだ。高速クリアに必須だ。
移動系では天翔。魔力で足場を作り飛ぶため、魔力消費が激しい。
本来なら。だが、なぜなら、俺は強奪で足場を蹴ってすぐに魔力として奪えるので、無限に使える。すごくね?
そんなチートでも、俺のスキルの中では下から二番目の枠であるのだ。やばいよね。
なら何があるかって?
大罪スキルと地獄スキル、そして不明だよ…
大罪スキルの憤怒と嫉妬は感情で攻撃が上がったり魔法攻撃が上がったりするスキルで、怠惰は楽をするためのスキル、よくわからない【ナニカ】が何でもしてくれる。強欲は、どんなものでも手に入れることのできるスキル。そう、どんなものでもだ。
暴食と傲慢はまだ使ってないからわからないし、色欲に至っては、その…夜の営みのときに使うスキルらしい。
地獄スキルは、いつものあの鎖。詳しくは前の話を。前の話ってなんだ?ってか、俺誰に説明してんだ?
まあいいか。
とにかく、そんなチートスキルたちとステータスのおかげで、
鬼を蹴散らし、亡者と仲良くなったり(亡者と聞くと悪いイメージが多いが、いい人も多い。六道の最下たる地獄にいる人なのにいい人とはこれいかに)いろいろとあった。
亡者って辛い環境にいるから、義理人情にあついんだよね。
地獄に行ったときに参考にしよう!
そう軽々と地獄に行くとか言っちゃ駄目か。
そんなこんなでもうすぐ山頂。
このまま行けばいいものを、つい視界に入った小屋に気を取られてしまった。
それでその小屋に入ってしまうのも、仕方のないことなのだ。
「お邪魔しまーす。」
そうやって、一応誰もいないだろうけど挨拶しておく。
「邪魔するなら出てけ阿呆。」
挨拶したら、変な年寄りの男性のような声が聞こえた。
「邪魔しないから入るよー?」
「ならいい。入れ。」
いいのかよ。そこは断っとこうよ。
断られても、無理やり入るつもりだったけど。
「しかし、驚いたのォ。この針山のここまで登れるやつがまだいるとは。」
そう言いながら、玄関まで出てきた男を見て俺は絶句した。
「お前さんはこんな感じか?こんな姿で、こんな声か?」
その声は、最初に聞いた老人のような声ではなく、若い…まるで俺のような声だった。
その姿は…
まるで、いや、全く俺の姿と同じだった。
そう、鏡を見ているように。
魔裟斗ってキックボクサーらしいです。
初耳…