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ケンカするほど

作者: おにくさま

エルフ王セン様にはたくさんのご友人がいらっしゃる

ではその中で一番の友人はと聞かれれば皆笑ってこう言うだろう

それはキィ様だと


お二人の仲の良さと言えば用もないのに喧嘩するためだけにお会いなさるほど

では何故それほどまでにお二人の中がよろしいかといえばそれはキィ様がエルフ王に決闘を申し込んだ最後の一人だと言うことだろう


何故そのような無謀なことをキィ様がなされたかと言えば盾として選ばれたキィ様の素性を聞いたセン様が

なんだ新たな盾は耳なしのお手つきか?と嘲った事に始まる

無論、セン様のお血筋からすればすべてのエルフは下賤ではあるのだが

それを聞き及んだキィ様は自分や一族の事ならいざ知らず愛した夫の事となればコレはエルフ王でもゆるさんとセン様の城に乗り込み

城兵を蹴散らしやっとの事で抑えつけられて尚あのチビを出せ!あのババアを出せ!と叫び

現れたエルフ王に一族の名誉の為か?己の誇りのためか?と問われると

そんなものは知らぬ私は亭主の代わりにお前を殴りにきたと叫んだ


その心意気を受け決闘に応じたエルフ王

結果は皆の知る通り


だがそれ以来エルフ王は他種族と結ばれたエルフに何かを言うことは無くなった

キィ様はと言えば夫の墓にあのババアの首を供えるまではと今でも息巻いている

そんなお二人は今日も二人で酒を飲み馬鹿話をされていらっしゃる


混住地として有名な《山田》をエルフ王がどの様に思っていらっしゃるか

それは分からないが《山田》にはひとつ有名な話がある


畑に向かうトカゲの旦那が小川のほとりで寝そべり酒を飲む子供のエルフを見かけ、だらしが無いと叱り畑仕事を手伝わせ、そんな昔のエルフの様に昼から酒を飲む様な大人になるなと叱りヘトヘトのエルフに実りをいくらか持たせて返した

明くる日、トカゲの旦那は役場に呼び出され役人にお前さん何をしでかした?と呆れられる

呼び出され何が何やら分からぬトカゲの旦那

役人が指差した先にはこんな田舎では滅多にお目にかかれないものが並び

それには書状が添えられていた

『働く者は尽く尊い、それらが村を支え街を支え国を支え大森林世界を支えている。貴方のひたいの汗がこの世界の礎である事を同胞として誇りたい。エルフ王セン』

書状を読んだ役人と旦那は急いでキィ様の屋敷へ向かい事を話すと

キィ様は笑って貰っておけと言い

どうりであのババア、《山田》はこりごりだと言って逃げ帰った訳だと喜んでいらっしゃったそうだ

セン様は遊びにきたキィ様の所で畑仕事を手伝わされそうになり、逃げ出した先で結局畑仕事を手伝わされてしまったのだそうだ


お噂ではセン様の元にキィ様から返礼として野良着が送られているらしい

いつでも手伝いに来いと


それが役に立っているかは誰も知らない

しかしそれが無駄になったと言う話も聞かない


《大樹》ならいざ知らず

《山田》の片田舎で小柄なエルフがヒーヒー言いながら野良仕事をしていても誰も気にはしないのだから


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