かいぶつてきなひと‐3‐
何よりもその一挙動一投足が、『まるで人間ではなく怪物を相手にしている』ようだった。
「鏡太郎くんとの付き合いは長いです。でも、友達とはやはり違うのでしょうね」
「何でさ」
「彼は野獣のような人ですから」
「これが? 温厚な善人だろ」
「だからこそ、そう見えるなら鏡太郎くんの友達になってあげれば良いのですけれどね」
「友達ねぇ……別にいいけど……」
椛が、鏡太郎を見ている。彼の体ではなく、その心の内をうかがおうとしているようだ。
もし椛が鏡太郎の友になれば、また一歩彼を『完成』させられる。それは小雪の望みだ。
人間性とは何か。その答えを、鏡太郎を作ることで写し見ようとしている。けっして、美しい獣にならないことはわかっていた。もちろん、そんなものを小雪は望んでいなかった。
苦行としての人間の心。
一目見たい、またそれに『つかえる』価値があった。だからこそ小雪は鏡太郎の下僕なのだ。
「俺と友達になってくれるか」
「まあ、友達(仮)といったところかな。お試し期間ってやつ」
「なるほど。じゃ──よろしく、椛」
「こっちもさ、鏡太郎。あっ、でも友達だからって礼儀はあるからな。変態プレイはほどほどにしてくれよ?」
ただの友達。
それを聞いて小雪はにっこり笑顔だ。望んだものとはちょっと違う。まだ足りない。小雪は目で合図を送った。相手は勿論、鏡太郎だ。
──押せ、鏡太郎くん。
──いやもう充分だ。
──いくのですその先へ。
──小雪お前は何を目指してるんだ。
──彼女を救うは今しかありません。
完成させるためなら、尻も叩く。




