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たからばこには‐9‐
「しょぼい青春だな、そんなの──皆あたりまえに過ごしたことだぞ」
「あたりまえ、か」
「そうだ。メールだの遊びにいったり全部、普通の学校生活をしていればあったはずだ」
「だが無かった。だからこそ憧れる」
「灰色の青春だったんだな……」
「笑えよ、椛」
「笑えねーよ」
「あはは!」笑ったのは小雪だ。小雪は容赦ない。
「小雪と鏡太郎は友達じゃないのか? 随分と親しげに見えるんだが」
「私と鏡太郎くんが友達ですって? まさか! 私は……鏡太郎くんの奴隷ですよ」
「えっ!?」
「間違えました。下僕でした」
頭が痛くなった。傷口を広げないよう、鏡太郎はこの話題へ触れないことにした。
「一体どういう関係なんだ……」
「聞きますか?」
「聴きたくない……」
鏡太郎も聞きたくなかった。小雪の妖精の羽根が、激しく羽ばたきおこしていた。彼女の顔はちょっぴり赤い。




