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たからばこには‐3‐
「椛が俺の家に泊まりに来たときの話だ。何故、朝起こすという約束を破り、あまつさえ別れの一言もなく、それ以外の関わりを絶ったかについてだ」
「いや、一眠りして完全に忘れてた。連絡しなかったのは、ケーテルを買い換えてデータの引き継ぎに失敗したからだ。すまなかった、鏡太郎」
解決した。
「なんだぁ、そうだったのか。安心した。俺はてっきり、大きな事件にでも巻き込まれちゃったのかもと考えてた」
「そんなわけないじゃないの」
「いやはや面目ない。しかし話せて良かった。椛が安全だとわかったからな」
「お前、そんなことを気にしてたのか?」
「あたりまえだ」
「私と鏡太郎は……親しくない」
「関係あるものか。椛は確かに『怖い』が、だからと助けたいと思わないのとは違うだろ」
「……」
「今回は空振りで本当に良かった。助ける事態に陥ってはいないってことだからな。それが一番だ」
「……そう」
「まっ、何かあったら頼ってくれ。前にも言ったとおりに、な」
「…………うん」
「どうした、照れたのか?」
「照れてない」




