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からのなか‐11‐
「で、どうする?」
「椛さん、どうするつてどういうことだ」
「ヤー公に楯突いて、この土地にいられんだろ」
「女の引っかき傷みてーなのでオヤジ……組長に泣きついてちゃ、ヤクザの恥さらしもいいとこだと思うがな」
お礼参りするにも、口の固い舎弟が数人。恥を晒せる人間は少ないはずだ。ヤクザもミエをきれなくなったら終わりだ。
「何で──私の手をとったの」
「悪かったと思ってるよ、椛さん」
「そうじゃい、鏡太郎。あんたがホテル街にいたのは、私を探してたんだろ?」
「さぁ? どうだろうな」
「女の勘だ。当たってるはずだ」
「まっ、正解だ」
「どうしてだ」
「う~ん……気分とノリだな」
「なぁにガキンチョみたいなこと言ってんだか」
「気になったからな」
「気になったって一体何がだ、鏡太郎」
「椛さんが怪しくて変だから」
「ヒデェ……」
「本当は──」
助けられた、そう思い込めば気分がよくなれた。一人の女を望まぬ宿命から救う。格好良いではないか。それが事実ならば、だが。




