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からのなか‐7‐
状況は流動する。
後ろから左肩を潰すような握力が襲った。蜥蜴頭が右腕の拳を振り上げた。振りかぶった、肘が背中より後ろの大振りだ。狙いは鏡太郎の頭、右頬と見抜く。
鏡太郎は指に力がはいり、その手が鷹の爪のようになる。鷹の爪は左肩を潰そうとしていた蜥蜴頭の手の甲を、剥ぐ。
「ぎっ!?」
表皮をもろとも筋繊維へ喰いこみ、肉ごと剥いだのだ。大げさな血が跳んだ。左肩に載っていた手が外れる。
蜥蜴頭が振り上げていた拳は、今は肉の剥がれた左手の甲を守っていた。鏡太郎は蜥蜴頭の右手の一撃を警戒し、右腕の肘で防ごうとしていただけに、拍子抜けした。右に半身回し、蜥蜴頭の革靴を踏み抜く……が硬い。鉄入りだ。切り替え、背中を使った体当たりで蜥蜴頭を吹き飛ばした。




