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からのなか‐3‐
このあたりの治安はよろしくないゆえに、暴力的な警備員の数は多かった。目をつけられるのは不味い。この時の鏡太郎は、このあたりを意味もなく徘徊する不審者なのだ。勿論、鏡太郎があたかも地雷原でシャトルランをしているような行動にも理由がある。
椛が利用するホテルが、この区画にあるのだ。集中していた。一つの賭けだ。
椛を見つけられれば、話しかけよう。
椛を見つけられなければ、この縁を諦めよう。
そうして危ない散歩を続けることに実に六時間がたった。
「アンちゃん、ちょっとこっちきてくれや」




