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からのなか‐2‐
セーラー服を着るモフモフ狐が、蛸頭のサラリーマンの手を引く。輝ける蝶の展翅のような衣で身を隠すものが、死んだ魚の目を引く。狼を狼たちが口説く。
客を飲み込むホテルは怪物だ。巨大な顎門から幾本もの触手を伸ばし、腹の中へと収め込んでいた。餌は女を連れ込む男がほとんどだ。金は絞れそうだ。
おっと。
鏡太郎はとても堅気には見えない男を避けるように、人混みへと隠れた。
二足歩行の緑の蜥蜴。つめられた尻尾、白いスーツに金バッチ。チンピラと間違えて半殺しにすれば、ちょっと面倒になりそうだ。




