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からのなか‐1‐
人生とは決断だ、とメリハリがあるかのような錯覚を植え付けられるものだ。嘘だ。大体は惰性だ。
(人生流れるままに生きるべし)
鏡太郎は夜のホテル街へ駆り出していた。ここに来るのは地方出張にやってきたサラリーマンや旅行客ではない。ビジネスホテルやカプセルホテルとは違う、ラブホテルだ。ビビットなネオンの看板が目を焼いた。猥褻な空気だ。通りすがる人々もまた空気に合うものばかりだ。
恋人同士が一夜の愛を確かめに来たものも見えなくはないが、多くは一夜の関係を買ったのだと見えた。商売女の香りと仕草が目立った。




