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まえにいっぽ‐16‐

では誰が、必要としていた? 誰も、だ。


(くそ)


あの時。あの瞬間。あの場所。あの顔が……忘れさせてはくれなかった。冷たい視線が、態度が、孤独である以上に怖いのだ。


深く悩みすぎて、息をするのを忘れていた。


気分を変えよう。そう考え、小雪がケーテルにデータメールを送っていたことを思い出す。読もう。そしてこの先を決めるのだ。椛に対する不安が膨らんだのもまた事実なのだから。


〈青春奪還部ッ! ファイト!〉


それを読んだ鏡太郎は噴き出していた。随分と懐かしい響きだ。


青春奪還部。


それは学生時代の鏡太郎、最後の賭けだったものの名前。失敗しかなかった青春、それを挽回したかった。青春なんて幻だ。


幻だが、……過去が止めていた足が、少しだけ動きそうだった。


タラコスパゲッティへフォークを突き刺す。タラコスパゲッティはもう、すっかり冷めてしまっていた。

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