67/94
まえにいっぽ‐15‐
鏡太郎は怖いのだ。椛とは初めての出会いと違い、赤の他人ではないのだ。もし赤の他人であったなら、助け捨てができた。知り合いだからこそ、その行動は慎重になるのだ。何も知らなければ悩まなかった。
(くそっ、まだ引きずってたのか、俺は)
昔のことだ。鏡太郎は子供のころ、学校で心底後悔したことが幾つかある。その一つが、学校のムードメーカーの級友にならって、同じようなことをしたことだ。馬鹿だった。笑ってもらえる、仲良くなってもらえるとやったのだ。結果は、あまりにも冷たすぎた。誰も彼もが、鏡太郎なんぞ求めていなかった。相談も、遊び相手も、手伝いも、鏡太郎には必要とされていなかったのだ。




