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まえにいっぽ‐14‐
椛の失踪と同時に、見計らっていたかのように顔をだした小雪の存在。鏡太郎の中では言い表せないものがザワついていた。自分自身の足が一体、何の上に立っているのかさへも疑っていた。
椛との出会い。小雪との再会。
全てに裏で糸を引かれていたのではないか。誰かの脚本、そんな気がしていた。そして鏡太郎はどこかで事実を他人事としていた。
変化は嫌いだ。それが大きければ大きなものほど、精神的な衝撃もまた大きくなる。日々、生活に『怪物』の圧力がかかる鏡太郎にとってその衝撃は負担だ。言い換えればそれは、新しいことへのすくみであり、勇気をだせないわけだ。始めの一歩がどうしても踏み出せない。




