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まえにいっぽ‐9‐
椛の顔が脳裏にチラつく。雨に打たれたスーツ姿。そして無貌の顔。どうして鏡太郎の家へ来のかはわからない。もしかしたらと考えてしまう。椛は鏡太郎に求めるものがあったのではないか。鏡太郎はその求めに答えられなかったのではないか。
「椛さんは、まあ、随分と沢山の男と関係を契っているようです」
「探偵の仕事も始めたんですか、小雪さん」
「ライセンスはまだありませんよ」
小雪が準備していた写真。男と女がラブホテルにしけこむ瞬間だ。女は、椛だ。青い肌、狼群れの下半身の足が写っている。男は知らない。たぶんどこかのサラリーマンであろう。




