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まえにいっぽ‐2‐
「いらっしゃいませー?」
定食屋の看板娘の、どこか気の抜けた声に招かれる。看板娘はどうだかわからないが、その彼女は鏡太郎の知っている娘だ。鏡太郎が訪れた時には食事時を外れており、客足は少なかった。看板娘は少しだけ小首を傾げながら訊いてきた。
「お一人様ーあってます?」
「いえ、知人が先にテーブルをとってくれているはずです」
「おーう。たぶん八番テーブルだね。案内します」
「大丈夫ですよ。水も自分でくみますし、注文が決まったらまた、呼ばせてください」
「了解かしこまりです」




