53/94
まえにいっぽ‐1‐
椛と会うことがなくなり、日付だけが過ぎ去っていく。付き合いが短いからといって、気にならないわけではなかった。だがしかし、鏡太郎と椛の関係とは何だ? 親しくなろうとしていた知り合いだ。それは少なくとも、鏡太郎が時間を削ってまで探しに出る間柄ではないだろう。……そう、鏡太郎は自身に言い聞かせた。本当はもう一度出会うことが怖かった。恐怖が彼の足をすくませた。何を怖がる。彼女──椛はただの乙女だ。怪物ではない。しかし鏡太郎の目には怪物であり、それゆえの恐怖があったのだ。




