46/94
わからないきずかない‐12‐
人肌の温もり。当然だがそれは、青い肌だからといって、人間と違っているわけではなかった。ただ、椛の少し数の多い、狼群れの足が絡んで暑苦しいだけだ。
振り払おうと思えば、振り払えた。
だが今だに狼群れは鏡太郎の体を解放する気配はない。彼が逃げないのは人肌への恋しさか、あるいは恐怖からの金縛りか。何にせよ鏡太郎が椛に捕らえられ続けていることには変わりないのだ。
鏡太郎は考えていた。眠れぬ夜に考え事はつきものだ。一人の女が突然に転がり込んできておいて、無関心のままでいられる鈍感とは違った。だからこそ背中の住人が、実は『狸寝入り』で目が覚めていることにも気がついていた。




