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わからないきずかない‐11‐
(……何時だ?)
闇深い夜だ。鏡太郎は目を覚ましていた。背中に温もりを感じながら、ぼんやりと考える。窓の外は、カーテン越しにもわかる黒い夜の壁がそびえ立っていた。雨粒、というには少し大きな音が叩きつけられていた。雨が霙に変わったのだろうか。
そして背中の温もり──吐息を感じた。それはどうしようもなく、鏡太郎の耳をくすぐりこそばゆい。
「椛さん?」
「……」
返事はなかった。……体が動かない。どういうわけだ。首を回せば鏡太郎の体は、狼の群れに押し固められていた。おしくらまんじゅうだ。いや、そんな生易しくはなかった。絡められていた。狼の群れの長である椛が張り付いているはずだ。だがまるでいないかのように振舞われた。




