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わからないきずかない‐4‐
間に合わせではあるが、鏡太郎の服を替えの服として用意した。濡れた服をまた着せるわけにはいかないからだ。
温かい飲み物でも用意しよう。風呂で温まっているとは思うが、椛をもてなすつもりがないというのでは締まりが悪い。飲みもしないのに存在しているコーヒーにしよう。牛乳と砂糖はたっぷり多め。苦さはいらないのだから。
脱衣所から椛がやってきた。白い霧を纏い、ひたり、ひたりと狼足が伸びては降りる。振る舞うたたずまいは氷の女王。熱ある冷たさ。だぶだぶの服で身を隠していても、その本質は隠しきれていなかった。無貌の仮面が、見た。




