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またたきのあいだ‐4‐
青い肌に何匹かの狼からなる足。──昨夜、遭遇した、ゲロを吐いていた女だ。変わらぬスーツ姿であったが、それ以上にタイツに包まれた足が眩しい。タイツに狼たちが、靴下に潜る猫のようだ。「おはようございます?」と鏡太郎は空気を合わせ、挨拶を返した。しかしそんなお気楽さに対してであろう、女は呆れたような顔をしてみせた。何故だ。
「ハンカチを返す為に押しかけた私が言うのも何だが、お前、少し以上に無用心だぞ。昨日の今日の相手で、怪しんでしかるべきだ」
「……そうか。……で、ハンカチは?」
「無ければここに用事はなかっただろう」




