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またたきのあいだ‐3‐
ぼんやりと、のんびりと。鏡太郎は朝を急がなかった。朝食に、温かいご飯とタラコにマヨネーズを混ぜて食した。変わらない朝の風景。今日もまた、そのはずだった。だが鏡太郎は、『今日は違う』ことも知っていた。
──ピーン・ポーン!
早すぎる来客のインターホンによる呼び出し。鏡太郎は一瞬で眠気を消した。誰かが訪ねてきた。重い腰をあげ、ドアを開け、この来客を迎えた。
「おはよう」
それは見ず知らずの人間の顔ではなかった。見覚えのある、知っている顔だ。しかしだからといって親しい人物でもなかった。何故ならば『彼女』は昨夜ぶりだからだ。




