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ひとりぼっち-1-
鏡太郎はその日、古い馴染みらとの同窓会に顔をだした。馴染み……あるいはそれは、『友』と呼ぶものかも知れないだろう。だがしかし少なくとも、鏡太郎が友と呼ぶようなのは、この同窓会には一人もいなかった。
ビール、焼酎、カクテル……アルコールを交えた騒がしい一席。好きではないアルコール、しかし数少なく飲める杏子の果実酒を一口含む。強い炭酸のような、ひりつく感覚が舌を焼いた。
目は合わせたがらなかった。それはつまり、誰からも注目されていないわけで。鏡太郎は、この群れの中で孤立していた。