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魔女の住む館

作者: konakusa

構想はあるけど書ける気がしない物語の序章の1話


たとえ話をしよう


ある日お前は一人夜道を歩いている。

そこに一人の女の子が来てこう叫ぶ

「ああ、お前はバケモノだ」

そう叫ばれたお前は思い当たる節があるのか女の子の口を封じようとした。


さて、ここで問題だ。


お前はその娘をどのように口封じをするのでしょうか?


「・・・・」


ためらうなよ?貴様は今神秘の秘匿を享受されているのだ。

われら一族の為、お前はなすべきことをなさなければならない。


さぁ、お前はどのようにしてあの娘を殺す?


声が遠くなっていく、奴は俺が背を向けるその時まで、何度も何度も同じ言葉を繰り返す。

神秘の秘匿?一族の為だって?なんて古臭い言葉だろうか。

ああ、あれは確かに神秘なのだろう、あれは他言無用の一族の秘宝なのだろう。

しかし、それは決して人の命と天秤にかけられるほどのものではないと思う。


その男の答えを聞けば、あるものはふざけるなと叫び、あるものはその男を殺すために動き出すだろう。

それが神秘を秘匿するためならば致し方ない、といいながら。


さぁ、今から始めよう。すでに破滅への時間は始まっているのだから。



その日、俺はある夢を見た。

他愛のない夢、昔家族がいた時の夢。

何もかも取りこぼしてしまった、後悔の波が押し寄せてくる夢。

夢の中で誰かが何かを叫ぶが、俺はただ耳をふさぎ地面にうずくまる。


「君はまだ何もわかっていないんだね」

「あなたは何もしなくていい」

「何もしらないなんて、なんて人」


哀れみともとれるそれらの言葉が俺に突き刺さる。


「・・・・すまない」


ただ、俺に言えるのはこれしかない。


外は雨が降り注ぐ音が、ゴウゴウと部屋の窓に打ち付けている。

夢の事も相まって、俺の今の心境はいいとは言えない。


そうでなくても今日は不安なことがあるのだ。

悠々と支度をすまして、のんびりと行きたかったがそうは行かないようだ。

体がすぅっと冷えるのを感じながら、初めてきる服に手を通す。


「しかし、驚いた。公立では学ランだったのに私立だとブレザーになるとはな」


新品のそれは、彼には少し大きかったようで袖に手がしっかり出ていなかった。

成長期だからと少し大きめな服を作ったと言われたとき、ああそうか、と何気なく返事を返したが、いざ着てみるとどう考えても不格好なまでに大きかった。


鏡で自分の姿を確認すると自然と、はぁ、と声が漏れた。


時計を見ると時刻はすでに7時を回っている。

昨日の電話では、どうやら職員室によってから教室に向かうらしい。

少しの不安を抱えながら、学校指定のカバンを持って部屋を出る。


きぃっと高い音がなる。


安い賃貸だからと、貸し与えられたそれは彼にとっては少しばかり大きな家だった。

ボロボロな外装な家とは裏腹に中はしっかりとしたつくりになっていたことに来たときは驚いたが、唯一中でボロボロだったのが、この家の玄関の扉だった。


引っ越してまだ1っか月もたっていないので傘はあったが、傘立てはなかった。だからか、コンビニで買ってきたであろうビニール傘は玄関付近の壁に立てておいてある。


こんなボロ家、泥棒だって来やしない。


と思いつつも最近ニュースではこんなボロ家を使って悪いことをする者たちもいると聞く。

実際、ここに来る前までは10年は放置してあった民家だったそうだ。

そこに安くてもいいから借りられる部屋はないかと、ここを持っていた不動産に尋ねた所何故か、マンションでもアパートでもなく家が貸し与えられたのだ。

一体どんな交渉をしたらそんなことになるのやら


家の扉を閉める。ガッチャンと大きな音が鳴り響いた。

扉だけは何とか変えられないかなと思いつつ、昔ながらのカギを鍵穴にさしてひねり扉を閉めた。


ザアザアと雨が地面に落ちる。風も少し吹いている。


これは濡れるな


転校初日から天候に恵まれなかったわけだ、と憂鬱な気分で家を出たのだった。


高度成長を終え、バブルは弾け、今就職につくのもやっと。

そんな時代を体験したこの町は、バブルの時代にはビル群がいくつも立つほど繁栄した地方都市になったが、バブルの崩壊と同時に資金が底をつき、新しいものを作る姿は次第に見られなくなっていた。


繁華街はシャッター街となり、今はこの町のお荷物となっている。

以前のような繁栄は見えないが、人口集中地方都市だという事は本当だった。

総人口40万人、これは町ではなく市での人口ではあったが、この町を行きかう人はこの日本でも5本の指には入っているだろう。


始めてみるものが数多くあり、彼はあたりを見渡しながら一人初めていく学校へと目指す。

雨のせいで視界が悪いが、彼と同じ制服をきた少年少女が見える。

学校の通学路でこれだけの子供を見るのは初めてだった。


「これが同世代の人間なのか」


まるで自分以外の子供を見たことがないかのように彼はいう。


ざっざっざっざと小刻みに歩く

見慣れない風景、見慣れない人たち、見慣れない街並み。

彼にとってすべては初めての体験だった。


そんなことを考えていると、目の前に大きな門が見えてきた。

その門には彼と同じくらいの子供達が笑いながら校舎へと向かう姿があった。


それを見る彼は、その光景にまたも圧倒される。

門をくぐり校舎までは行ったところで、はて傘はどこに置こうかと困ったが取り合えず家と変わらず壁に立てかけておくことにした。


生徒数1000人のこのマンモス校では人が多いため、見たことがない生徒がいても自分が知らないだけかと、クラスそれぞれにおいてある傘立てに入れない生徒を見ても気に留める学生は居なかった。


彼は体を確認し、制服がそれほど濡れていないことにとりあえず安堵する。

ブレザー問わず制服は基本濡れると匂うものだ。

彼も転校初日から、これから会うであろうクラスの学友に、あの人匂う、なんて思われたくはないのだ。


校舎に入ると壁に土足厳禁と張り紙がしてあるのを見つける。


しまったな、と予想外の出来事に困ったがとりあえず靴を脱いで職員室に向かう。

もちろん彼は予備の靴を持ってきてはいなかったので靴下は履いているが素足で廊下を歩く羽目になっている。

幸いなことに職員室は下駄箱のすぐ目の前だったので、あまり多くの生徒に目撃されることはなかった。


コンコン


手をたたくが中からは声はしなかった。

どうしようかと思う中、肝心の職員室には先生は大勢いたが業務のチャックをしている先生が多くドアの音に気付かれない。

そもこの学校においてはノックしたのに勝手に入ってくる生徒がほとんどなので先生たちもまさか職員室前で静かに待っている生徒がいるとは思いもよらなかっただろう。


はて、これはどうした事だろうかとずっと職員室前で悩む彼に助けの声がかかる


「なぁ、何してんの?」


「え?」


振り返ると、不審そうにこちらを見つめる男子生徒がいた。

すこしけだるそうにする姿勢は、いわゆる不良を思わせる

だれもが話すのを躊躇いそうな風貌をした少年だったが彼は嬉しそうに「ああ、助かった」と口にしたのだ。


「実は今日この学校に転入してきたんだけど、職員室から誰も出てこなくて困っているんだ」


容量よく、今の現状を伝える彼だったが、少年は。なんだこいつ来たならば行けばいいじゃないか、といいそうな目を彼に向けた。


「来たんなら行けよ、そらドアを開けて右が教頭が座っている席だ。あいつ確か生徒指導の顧問もしてたからどうすればいいか聞いてみろよ」


「職員室だろ?勝手に生徒が入っていいのか?」


「構わん、というかあれだ。この学校の生徒はそんな職員室には生徒は入っちゃいけませんって考えを持っている奴はいない。先生も怒らんから行け」


ほら、ほらいったいった、と言わんばかりに手を振る少年。


「ああ、ここではそんな決まりなのか。すまない、礼をいうよ」


頭を下げ、少年の言った通り扉を開け中に入った。

職員室前で残された少年は「変なやつ」と一言つぶやくとその場を去っていった。


心優しい少年に助けられたが、何より同世代の人間と話したことにすこしばかり心が躍った。

ドアを閉めると、きれいよく整えられた机がずらりと並ぶ大部屋、そこで大人の男女が資料を見ながら談笑していた。


たしか、入って右の机だったな。


目をやると、不自然にほかのと比べ少し大きな机がポツンと置いてあった。

机には、どこか張り詰めた空気の中年男性が座り他の男女が座る机をにらむように見つめていた。

彼は一瞬声をかけようか迷ったが、「すいません」と小さく教頭に声をかける


「君は・・・ああ、転校生の。小林穣くんだね」


「はい、こないだの電話で職員室によってから教室へという話だったのできたのですが」


「話は聞いてるよ、君は1-D組だから望月先生だな。おい望月君」


それまでの厳しいそうな態度から一変、とても優しそうな態度に変わる。

教頭の一声で、近くに座っていた男性が一人立ち上がる。

黒縁眼鏡に目にクマができたその先生は、どうやら俺の担任の先生らしい。


「確か小林君だったね、初めまして私が君が所属すクラス担任の望月です」


笑顔を向けてくるが表情からは若干疲労が見て取れた。

後ろでは、またか、と教頭が呆れた声をだしていた。


「ああ、望月君。君が1日2時間寝れればいいとか考えているのは結構だが、業務に差し支えない程度で担務よ、ゲームはね」


「はい、大丈夫です。これでも今日は2時間10分寝てますので。さぁ小林君、僕の机に来てくださいいろいろ説明がありますので」


それは果たして大丈夫なのだろうか。

一物の不安を抱きながら、担任望月先生にこの学校の説明受ける事になった。


梓南中学校

地方都市において人口密集区域に作られた学校であるがその歴史は短いものだ。

爆発的な人口増加に伴って、本来あった梓中学だけでは足りないと北高と南校の2校は今から20年前に作られた。現在ではすでに当時の2分の1まで子供も減少してしまったがそれでも1000人ほどの生徒が梓南中学に通っている。学ランからブレザーに変わったのも5年前で当時のPTAが今どき学ランはあっていないと学校と交渉の末変わったそうだ。しかし、20年前と違い今は人口減少に伴い本来あった梓中学は廃校となり、北校と南校だけがこの町に残っている。また10年後には北校か南校もなくなってしまうだろう。人口減少という時代の波はこの町を包み込んでいる。



昔、とある事を質問した。


ねぇなんでおじいちゃんは不思議な事が出来るの?


そんな子供の質問に祖父は笑顔で答えた。


それはね、おじいちゃんが魔法使いだからさ


ふざけたように話す祖父に馬鹿にされたと思った私は、もぉ、と帆を膨らませて地団駄を踏む。


おじいちゃんの嘘つき、子供ながら実に子供じみた言葉だなと今更ながら思ってしまう。

今なら祖父の言った意味は読み取れた、確かに彼は魔法使いだった。いや魔法ではなかったのだけど、現代風に言えばそれは魔法に近い物だった。


ぼんやりと祖父の事を考えながら、リアルで起こっている事を認識する。

ここはこの町にある小さな公園だった。昼ならば小さな子供たちが遊具で遊ぶ場所、しかし今は月が昇っている。静寂がこの空間を包んでいた。


ガシャン、そんな静寂を壊すようにソイツは現れた。


「朱雀の影か」


4本脚で歩く、その怪物。口には人の体ほどの大きな得物を加えていた。


「結界の準備はいいわ」


どこからか女の声が響き渡る


「ありがとう、じゃあ始めましょうか」


彼女の声にこたえるかのように怪物は、走る。ただ目の前の獲物を殺すために。

ありえないほど加速する怪物は数メートル先にいた彼女の前に用意にたどり着く、その時間0、5秒

瞬きを許さない神速の足は、彼女の懐に目掛け薙ぎ払う。

しかし、薙ぎ払うべきは相手はもうそこにはいなかった。


「まさに獣の化身ね。あと少しで木っ端みじんになるところだったわ」


怪物の後ろ、彼女は悠々とそこに佇んでいた。


「速さがご自慢のようだけど、もうそれは使えなわね」


にやりとする彼女、怪物は自身の攻撃が避けられたことに、そんなこともあるだろう、と考え直し再び彼女にとびかかろうとする。


しかし、ここで異変があった。前足がその一歩をだそうとしないのだ。

なにが起きたと思うのもつかの間、目の前の彼女が何かを口にする。

その瞬間、怪物はその生命活動を停止させた。

勝負なんておこがましいくらい、完璧な殺し合いはあっけなく幕を引いたのだ。


一瞬の静寂の後、ふぅっと緊張が飛んでいったと言わんばかりの大きな息遣いをする彼女。


「大丈夫だったようね」


「何とかね、ねぇ最近やけに瘴気がこの一帯に満ちてるわね」


先ほどの死闘がなんでもないかのように、彼女は暗がりから現れた少女に向かって話を始めた。


「ええ、本当にね。私にも見えるほどの濃い瘴気なんてなかなか見れないんじゃないかしら」


黒いドレスローブ、一見公園とは不釣り合いな装いの少女。

しかし、違和感を感じさせないほど彼女の存在は周りを溶け込むように違和感なくそこにいる。


「加菜実が見えるのか。なら原因となっている存在は相当な妖気を持っているってことね。朱雀の存在を顕現させられるくらいだもの、これって不味い状況ってことよね」


「式神の顕現はそう難しい事ではないわ、問題はその式神の顕現が朱雀のそれと同レベルの物だったと言うべきよ」


「・・・なら、そうとうな使い手ってことね」


げんなりとした素振りを見せる彼女に、少女は眉をひそめる。


「この街の霊脈はこちらが抑えてる、まだまだ手はいくらでも残ってるわ」


「そうね、柱にも手を付けてないんだもの。この瘴気はその使い手の仕業でしょうけど街の所有権さえこちらが抑えていれば奪われる心配もないものね」


「油断は禁物、もしかしたら朱雀の顕現が出来る使い手かもしれないんだから」


少女の言葉に彼女は、まさか、と言う。

朱雀の顕現なんぞ出来る使い手が、こんな街に住む私たちに攻撃してくる分けがない。


「そもそもね、そんな強力な術者が野良で活動しているなんて分けないでしょ」


「それもそうね」


暗く閉ざされていた公園は月明りが差し、虫たちの鳴き声が響くようになった。

あたりは先ほどの重苦しい雰囲気は消え、何も無かったかのようにいつもの公園の静けさに戻っていく。


「でも、相手が姿を現さないのならこちらも防衛に回ればいいだけの話ね。のんびり行きましょうか」


「あなたは呑気ね」


冗談まじりに少女は言うが、実際の所彼女の心境はいいものではなかった。

自分たちのテリトリーを侵略しようとするものが現れた。

初めての事に一物の不安を抱く。


「さて、もう夜も遅いし家に帰りましょうか」


「そうね、明日も学校だもの。やることはやっておかなと行けないし」


「まぁね]


彼女は一息ついたのち今日の出来事を思い出し、はぁ、と憂鬱な気分になった。


「どうしたの花蓮、あなたが学校の事でため息をつくなんて」


「今日ね、うちのクラスに転校生が来たのよ。私、クラス委員長だから彼に学校の案内したの」


「ふぅん」


あまり興味がないというように答える少女に、そっちから聞いたくせに、と不機嫌になる。

しかし、誰かに聞いてもらわないとこちらも嫌だ、と話を続ける


「別に嫌な奴じゃないのよ、ただ無関心っていうか覇気がないっていうか。ああいうやつを見るのは初めてじゃなかったけど、案内した後彼何ていったかわかる?「うん、鹿庭は物知りだな」って。変な奴よね」


「そう、話を聞く限り花蓮がそこまで起こる要素は見当たらないのだけど」


「むっ、まあ確かにそうね」


なんで私はこんなにイラつくのだろう。ふとそんなことを考えてみる。


思えば朝から嫌な予感がしていた。

担任も望月先生がいつものように目にクマをつけてクラスに入ってきた後続くように初めて見る男子が入ってきたのだ。


初めて見る生徒に教室内がざわつくなか、望月先生は生徒、小林穣、の紹介を始めたのだ。

それはいい、この教室に新しい生徒が来るのは構わないが、昨日にでも一言申し出があっても良かったのではないかと思ってしまう。

別段それで変わるわけでもないが、花蓮は望月先生のいい加減な姿勢に、それでいいのか、と思い始めている。


先生の紹介が終わると、転校生の小林君は「こんなに大勢の同世代と一緒に学べる事を光栄に思います、どうぞよろしく」と、なんとも中学生らしからぬ言葉に、ある意味でクラスが騒めいた。横の席の関沢の「やっぱり変な奴」と独り言も聞こえてきた。


とまあ形式的には礼儀正しき転校生を、その後望月先生ご指名で校内を昼休み時間を割いて案内することになったのだが、ここで花蓮は彼を「なんだこいつ」と思い立たせることになった。


音楽室に行けば「なんで教室を変えるんだ?」といい、美術室に行けば「なんで机が汚いんだ?」といい体育館に連れて行けば「校庭があるのに何で使わないんだ?」と意味のない質問を何度もしてきたのだ。

あるんだから使ってんのよ、なに文句あんの?と言いかけたが、理性が感情を抑え丁寧にそれぞれの教室の使い道を答えていった。


最終てきにすべてを回った時はお昼休みは終わっていた。貴重な休み時間が、となんとも言えない気持ちになりながら教室に戻る中突然小林が「うん、鹿庭は物知りだな」と言ってきたのだ。

確かにそれだけだと、そう?となるだけだったが、貴重な昼休みが潰され意味の分からない質問をぶつけられ、小林穣という人物に不満が少なからずあった彼女


『よし、こいつ気に食わない』


以降午後は彼女は転校生に近づかなかった、というか小林君は他の男子、とりわけ関沢と仲良くなったようだった。委員長の立場からすればクラスに1日も立たずに溶け込んでくれた彼に安堵しつつ、気に食わないやつが現れたなとなったわけだ。


そこまで考えて花蓮は、むっ、と自分らしくない考えに違和感を覚えた。


確かに変な質問ばかりだし昼休みを潰されたけど、なんで私ここでイライラしてるんだ?


季節は夏、私たちは3年だ。もう受験の年で転校してきた彼。不安がたくさんあったはずだ。

人間関係も何もかも違う、そんな異世界に放り出された彼の心境を考えれば私は委員長として彼の手助けをすべきだったのではないか?と。手助けとは人間関係でだ。


今日の私は何かおかしかったな


今日の自分の言動を反省しつつ、明日はもう少し柔軟な対応で行こうと心に誓う。


「考えがまとまったみたいね、いいことだわ」


「佳那美のおかげね、やっぱり考えがまとまらないときに人に話すって重要ね」


「そうね」


会話はそこで終わり。

だけど佳那美のその態度は花蓮にとって、いい距離感だなと思った。


夜がさらに更けていく。

彼女たちは気が付かなかった、彼女たちが悪いわけではない。

ただ、そこにあるのが当たり前とした彼の存在が、気が付かない原因だったのだろう。

人がいなくなった公園、そこにある一本の木の上からガサガサと小さな音が鳴り響く。

少年は今あったことを夢物語か何かか?と思いながらもそれが現実であったと再認識させられる。


「確か今の、鹿庭だったよな?なんだったんだあれ」


彼は気が付かない、その現場を見た時から彼もまた神秘という物の一旦に触れてしまったことを。

これから起きることに彼も否応なく取り込まれてしまう、そんな結末を。

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