8.再会
ツッコミどこらが多数あります。
そこら辺は魔法の言葉“ご都合主義”でどうにかなります。
「ったく、凛は何でもできるな」
「なんでも?そんな訳ないだろ」
その頃は、友達は悪友一人しかいなかった。
学校ではないところで会う、唯一気の許せた悪友が
自分で言うのは何だが俺は完璧だった。
演劇部のエースで、運動も勉強も一番で、それと比例するように努力をした。
何で皆これくらい努力をしないのか理解できなかった。
途中であきらめる意味が分からなかった。
「才能ある奴とは違うんだよ俺らは」
違う、俺は努力をしてここにいるんだ。
「ホント、なんでもできるよな。流石元女優の息子」
母さんは関係ない。
「萩本何でこんなケアレスミスをしたんだ」
でも、トップだ。
皆から敬遠された。
認めてもらいたいから努力した。
成績は上がるにつれ虐められた。
それを先生にバレないようにやったら、部活の奴らからも無視されるようになった。
学校には誰一人として俺を褒めてくれる奴は居なかった。
母さんの実家は芸能一家だ。
それにならって俺も子役を引っ越しを期に小学生の時やったけれど、長くは続かなかった。
それでも何かを演じるのが好きで中学校では演劇部を作って演劇をすることにした。
みんな努力して、体育館に拍手を響かせた文化祭は一生の思い出だと思ってた。
けれども、ある日聞いたのだ。
「あいつ何あんなに必死になってんだか」「ちょっと噛んだり間違えたりしたら口うるさく注意して組んだぜ」「演劇に走る必要ってあんの?」「ったく、俺は有名人と友達ってステータスがもしいだけなのによ」「あともうちょっとで萩本先輩引退なんだから我慢しようぜ」「そうだな」
裏切られた。
家から帰ると母親が今日何があったとか何度も聞いてくるが鬱陶しかった。
親父は仕事で俺が起きてる間には帰ってこなかった。
あるのは積み上げられた本だけ。
父さんに頼ろうと夜遅くまで起きて話をしようとしたら「子供なんだから早く寝ろ」の一点張り。
嫌になった。
軽く家出をしようと思い、電車に乗って知らないところに行こうとした。
けど乗り物酔いで最初行こうと考えてたところではない知らないところにいた。
適当にあるってたら迷子になって、高い所から見ればわかるんじゃないかって、冷静になればそうじゃないと分かっているのに、高い丘に向かっていた。
そこの丘の上の高台でベンチで本を読んでる同じくらいの歳のひょろっこいメガネかけた男子とあった。
その本にカバーはされておらず、親父が持って来たホント似てた。
「それ面白いのか?」
「すっげぇ面白い!」
そこまで言うならどんな話か説明してくれと言えば、熱く説明してくれた。
でも矛盾っぽい所があると俺はそこを指摘せずにはいられなかった。
「あ~もう!何でそんな指摘ばっかするのさ!」
「その作品がつまらなそうだから」
「~~っ!君に絶対面白いと思わせてやる本紹介してやる!来週もここ来い!」
「だったらここから近い駅まで案内しろ」
「へ?」
それから、毎週のように俺は乗り物酔いに耐えここに通った。
一回丘から駅まで案内してもらったので道は覚えたし、アイツと会話するのが楽しみで仕方なくて通うのが苦ではなかった。
「あぁ~これもダメか!」
「そうだな、主人公の性格が鈍感すぎてウザい『みんなで過ごせるように俺は!』とか偽善だ。ハーレム展開?心の奥底から愛せる女を決められない屑野郎が決めることだ」
「見てる分にはいいんだよ、女の子可愛いから」
「『あ~もう何で響はそんな鈍感なのさ!』とか聞いても何故萌えるのかよくわからん」
「…凛ってそんな感じの演技得意だよね。すっごい格好いい声とかポンって出てくるんだもん」
それが俺の好きなことだから。
「ん~じゃあ、凛が心の奥底から面白いと思う本紹介したらその声で俺を萌えさせてくれ!」
「良いよ、できるものなら」
「じゃあ、俺が小説書く。凛好みの最高の作品。魅力的な女の子がいっぱい出てくるけどその中の一人と永遠の愛を誓う話」
「その途中途中に本命以外をこっぴどく振るシーン何かあるといいな」
「ふ、凛に『何でこいつを振ったんだ!こいつ魅力的だろ!』とか言わせてやる!」
「そりゃ楽しみだ」
バカみたいにはしゃいで、くだらないことで言い争う。
これが友達なんだと初めて知った。
けれど楽しい時間には必ず終わりがやってくる。
「なぁ、凛。俺引っ越すことになった。海が近い此処から結構離れた所」
「え」
「けれど、俺の夢絶対実現して見せるよ。本のあとがきに書いてやる『親友、萌えたか?』って」
「ぞれ、ぞれみだらなぐりに行く」
「来い。散々殴った後、俺を萌えさせて癒してくれ」
「やっでやる」
「泣くなよ」
「ないでなんかない!」
「じゃあな凛」
ん、また会おうな--。
その日には俺にうっすらとTS病の影が現れていた。
目が覚めると、自分の頭にはしっかりとした感覚の支えがあり、パーカーがかけられていた。
「…悪友か」
「お目覚めか、お姫様」
「…何でお前がここにいるんだ」
「女の子助けたら、その女の子がめっさ美少女だったものだから」
「何故膝枕をしている」
「傷ついた女の子の頬を冷やすのに楽な体勢を取った結果がこれだ」
「これで私がお前の方に寝返ったら倫理的にアウトな絵面になることを理解しているのか?」
「あ、そうだな。さあ寝返れ!」
「するかボケ」
頬が痛くてそんなことできる訳がないだろう。
…多分青あざレベルなんだろうな。必死に歯を食いしばったから口の中キレてたり歯が抜けてたりはしていない。
「久しぶりだな、深夜」
「そうだな。久しぶり、凛」
久々に会う親友は、ずいぶんと格好良くなってた。
「見た目が変わったな、深夜」
「お前ほどじゃないよ」
何にも変わらない、昔と同じがここにあった。
あれ、おかしい。
再会した悪友がヒーローポジションに…
タイトル変えるか←
一度完結まで持っていってから編集していきます。