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6.家庭科部

感想ありがとうございます。

ダラダラと短い文章ですがちょこちょこと更新していく予定です。

一話あたりの文章量が少ないのは自覚している。



 その翌日、いつものように朝食を作っていると先輩が必死に昨日のことを否定してきた。

 取りあえず、私は守備範囲外と遠まわしに言ってもらったのでいつも通りに接すればいいのだろうと分かった。




 期末テストが終わったかと思えばすぐに夏休みはやってくる。

 体育館で校長や教育指導の先生が赤点を取った生徒の人数だとか、バイトは一応許可しているが夜8時以降はバイトをするなとか云々言っている間に終わり、教室に着けば担任が来年は受験が待っているから今のうちにしっかりと勉強をしておくように、と言いつつ1学期が終わった。

「凛の夏の予定は?」

「父さんの実家に行ってそこの夏祭りに行くくらいかな」

「じゃさ、じゃさ、海行こうよ!海!」

「移動時間が辛いからプールなら」

「そんじゃ決まりだね!」

 少しくらいは家に帰ってこないと父が煩いと母からの苦情があったので数日はあっちに行くことに。

 先輩も少し里帰りをすると言ってたので私もそれくらいに行くことにする。

 高校2年の夏休み。

 いかにも青春系ラノベの代名詞と言っても過言ではないが、男っ気のおの字も見当たらない俺には一夜の過ちとか起きない。起きるはずがない。

 ここしばらくプールにも海にも行ってないな。

 正確にはあっちのそう学校から引っ越してこっちに来てからプールの時に風邪ひいて入れなかったり、中学校にプールの授業がなかったんだっけか。高校は高校でプールないし。

「天野ー!ちょとっといいか」

「あ、ごめんね凛。呼ばれてるみたいだから言って来るね」

「私も部活あるか確認してから帰るよ」

 何故か彩希は一瞬驚いたがすぐに笑顔で後で連絡するね!と言って別れた。




「おっ、来た来た凛」

「待ってたよ~凛ちゃん」

「来ましたね藤本先輩」

「助けてください藤本先輩!」

 部員5名と顧問の家庭科の先生と少ないが賑やかな家庭科部の部室である第二被服準備室に着くと全員が見事にそろってた。

「凛ちゃん何か夏休みの予定ある?」

「お盆に父の実家に行く位ですが」

「そんじゃ大丈夫だね」

「何が?」

「家庭科部の合宿」

 …なんだ、その漫画とかでよくありがちな展開。

「正確にはお手伝いなんだけど、予定としては一週間後に一泊二日で先生の実家の近くである神社のお祭りの出店とか案内とかのお手伝い。お手伝い台として屋台の料理がタダで食べられるよ」

 魅力的なのか魅力的じゃないのかよくわからない活動だな。

 …まぁ、別にいいけど。

「それより、五十鈴さっきから亀甲縛りになってるけど……趣味?」

「いいえ違います!帆乃夏にやられたんです!俺はノーマルです!」

 この部屋に入ってきた瞬間に先輩助けて!的なことを言った少年は五十鈴と言って中性中肉。この家庭科同好会のツッコミ兼弄られ担当である。

「五十鈴君は安定のドMだねー」

「アリシア先輩おっとりととんでもないこと言わないでくださいよ!ってか帆乃夏いい加減にしろ!」

 金髪巨乳で物腰の柔らかい天然先輩だが割とエグイことをさらっと言っていくとんでもない人である。

 やはり、にぎやかな部活である。

 この騒ぎは顧問の中島先生が来るまで続いた。

 予定開けとかないと。

 その後、当日はどんな役回りがあるか、後その分担を話し合って決めた。

 …迷子と打ち上げ花火と神楽舞が始まる時間を通達する係りか。

 練習しておこう。そう言って先生に代々どんなアナウンスをすればいいのか聞きだした。




「先輩、私は来週一泊二日で部活で出かけます。後、お盆の間は家に帰ります」

「俺もお盆あたりは帰省する予定だ」

「正確な日程が決まりましたらリビングのカレンダーに書いておいてください。食材をダメにしないように調節するので」

「分かった」

 夕食後のちょっとした会話。

 まず用事を伝え、仕事がひと段落したと言われたので少し練習に付き合ってもらうことにする。

「先輩、部活の用事が祭のお手伝いでアナウンスをすることになったので、問題がないか聞いてもらって良いですか?」

「いいぞ」

 ○○町よりお越しの○○くんのご家族の方---5分後より、神楽舞が--この町自慢の花火職人が--等々。いくつかのパターンで試してみたが、語録に対してさすが作家と言うか、細かい突込みが入ったので練習されてもらって助かったと感じた。

「それにしてもその声はどこから出てくるんだ?」

「さあ?出るものは出るものなので」

「…ちょっと読み上げてほしい文章があるんだけどいいか」

「構いませんが」

「ちょっと待ってろ」

 そう言って先輩は自室に向かい、何かをプリントアウトするコピー機の音がした。

「これだ」

 そう言って先輩が持って来たのはA4サイズの紙に縦書きに種類別の色々なセリフがあった。

「どのような感じで読み上げればいいのでしょうか?」

「お前が文章から感じるままでいい」

「ちょっと待ってください」

「嗚呼」

 そう言って改めて台詞を見る。

 ハイテンションのセリフだと思われるものや、淡々とした冷静なもの。酷く不安定な気持ち。セリフには特に共通性はなく、言葉遣いもバラバラだ。だけどなんとなく、どこか共感できるようなそんなセリフ群。

 ---何と言うか、はっとした。

「『どうしてっ!どうしてなんだよ、どうして僕が!』」

「『変わりたかったのです。けれど、望みとは違った』」

「『こんな風に笑える日がもっと、もっと、早ければ良かったのにな』」

 読み上げたのは3つのセリフ。

「すみません。これ以外のセリフは今一つ分かりませんでした」

「…読み上げてほしい台詞をピンポイントで呼んでもらったから問題ない」

「そうですか。部屋、戻りますね」

 なんか、自分の心を見透かされたような気がしてあの場を離れたかった。


 やっぱり、あれは2年前のおれだ。


近い家に主人公の過去の事かく予定でいます。

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