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4.梅雨の季節

時間系列が飛ぶのは仕様です。

別にその間をかくのが面倒だったわけではないです、はい。

内容が思いついたら足しておく予定。


 それから二ヵ月。

 特に珍しいことはなく、普通に生活を行い生活になれたところ。

 GWには小母さんが来て色々と家事を手伝ってもらったり、一旦自宅に戻ると父が行かせん、行かせんぞぉ!と唸っていたことぐらい。

 季節は6月。

 俗世間に言う梅雨の時期である。

 そのことあってか、無駄に長い俺の髪は跳ねたりなんなりのフィーバー状態。

 セットに時間が掛かるのが悩みである。

 そのセットについての事もあってか、朝早いからといて不用心に洗面台の前で髪を整えていた俺が悪かった。

 先輩にバレマシタ。

 

 

   

「で、いつからお前は女になったんだ」

「中学2年の冬にTS病にかかって、それからずっと」

「完結的でいいが、事前に連絡が欲しかった」

「それは小母さんが説明し忘れただけです」

「…お袋、GWの時にでも言ってくれりゃよかったのに」

 雅也先輩は疲れているとき以外は思いのほか話すことが最近判明。

 この前ちっと部屋を覗くとリ○Dとかチ○ビダとか栄養ドリンクが無数に転がっていた。

 …この人は一体何をやっているのだろうか。大学生に大量に課せられると言う“レポート”をやっていたのだろうか。

「お袋も冴子さんも男女同じ部屋に住まわせるとか何考えてんだよ」

「先輩、そもそもついさっきまで気づいてませんでしたよね」

「うっ、いや、だって、お前元から女みたいな顔だっただろ」

 おお、珍しく慌ててる。何かレア。

「一応、相羽さん一発で判別してましたけど」

「アイツも言ってくれれば…」

「まぁ、一応先輩は幼馴染で同じ風呂にも入った中で俺が男だと言うものだと思っていたんですから仕方ありませんけど」

「そ、そうだよな!仕方ないよな!」

「そもそも、先輩が生活能力皆無なのがいけないんですよ」

「…そう言われると何も言えねえ」

 おお、何か先輩がキャラ崩壊起こすほど良く話している。

「まぁ、かと言って特に問題が2か月間起きたわけでもないですし特に何がある訳でもないでしょう。と言う訳で朝食にしましょう」

「お、おう」


 6月14日。とうとう先輩にバレました。

 …特に何がある訳でもないけど。

 



「何か買ってくるものとかあるか?」

「…急に先輩が紳士になりました」

「今まで年下の女に重い物持たせてたと思うと、ちっぽけな男心が大いに荒れてるんだよ」

「まるで亭主関白の様な扱いでしたし」

「悪かった、本当に悪かった」

 流れる様な動作で土下座を披露する先輩。

 おお、これが女子に対する年上の対応と言うやつですか。

 何か物凄いカッコ悪い。

「サイズのでかい子供の駄々に振り回される感じでもあったと思います」

「やめてくれ、俺のライフはもうゼロだ」

「まぁ、とりあえず玄関で土下座と言うのはとてもシュールなので辞めてください。あ、お米切れそうなので15㎏お願いします」

「ああ、分かった」

 …先輩、あれか。

 女子には優しいフェミストさんだったか。  

 



 簡潔に言おう。

 傘忘れた。

 梅雨の時期に何たる失態を犯したのだろうか、完全に折り畳み傘を鞄に入れておくのを忘れた。

 かと言って学校の備品の貸し出しの傘は部活をやっているうちにすべて貸し出されている。

 彩希は帰宅部なので基本的に早く帰るし…一番最後に鍵閉めをしていたのは私だから部員の傘に混ざることもできない。

 …どうするか。

 先輩は確か用事で夕飯はいらないと言っていたのでおそらく家に居ない。

 ……あれ、もしかして俺交友関係狭すぎ?

 仕方ない、全力ダッシュで帰ろう。制服乾かすの面倒だけど背に腹は代えられない。そしてウィッグはこの雨の中使用するのは憚れるのでケースに入れ、カバンの中へ。校内では生徒手帳の証明写真とるとき以外そういや外したことなかったなこのウイッグ。

 先ほど丁度シュシュなるモノを制作したのが幸いだった、髪が結べる。

 運動するときの女子の代表的な髪型と言えばやはりポニーテールである。

 鞄を傘代わりに走ると言う、ある意味夏の風物詩を行いながらやや全力疾走。

 男の時には分からなかったπО2の揺れと言うのは思いのほか邪魔なのだとやはり実感する。…何で平均以上に育ってんだよ俺の胸。

 当然鞄を傘にしたところで結局濡れると言うのは魔のがれない。

 何がと言わないが濡れると透けると言うが、今の自分はニットベストを装備しているので見られる事は無い。…誰に説明しているのだろう。




 途中、シャッターのしまった店の軒下で少し雨宿りをしつつ、あともうちょっと走るかと意気込むと、俺と同じように雨宿りに入ってくる人が。

「こんな日に雨とかついてねえ…」

「そうですね」

 完全に独り言なのだろうが何か反応してしまった。

「天気予報じゃ夕立の恐れはないっていってt----って、こんにちは」

「見事なノリツッコミですね」

「えっと、海星の制服を着てるけど…」

 癖のある何処かヘタレ主人公臭を醸し出す少年こと、佐藤が見事なノリツッコミをしていた。

「クラスメイトの顔を忘れるのはいかがなものかと」

 半ば照れ隠しの如く頬をかくが、それを崩すほどの驚きが彼には起きたらしい。

「え、あ、ちょっと待って。家のクラスに栗色の髪の長い美女子はいなかった気がするんだけど」

「普段は黒髪のショートですね、ウイッグ被っているので」

「黒髪ショート……で、その声もしかして萩本!?」

「正解です。それにしても私を美少女扱いとは、何か手慣れている感じですね。褒めるのが」

 ちょっと上げ足を取ると再びパニックになる。 

「え、いや、ちが…くないけど。そ、そう妹が新しい服とか料理とか色々と感想を求められてなんやかんやで反射的に褒める癖が!」

 そこは軽く流しておくのが賢明だと思うのだが。

「とりあえず、そう言うことにしておきましょう」

「お、おう」

 少し無言になっていると冷めてきたのかくしゃみが出る。

 そう意識している訳ではないが何故かくしゃみをする時は自分で言うのは何だが可愛い声が出る。

 休憩代わりに寄ったが、これ以上ここにいると風邪をひきかねないので軽く一声かけて行くことにした。

「そろそろ私は行くので、風邪をひかないように気を付けてください」

「藤本も風邪ひくなよ!」

「はい、では」

 そう言って全力ダッシュで家へ向かった。


一方:近衛

「なぁ、圭なんで凛が女だって黙ってたんだ?」

「え、気づいてなかったのか?」




「って、おい何でびしょ濡れなんだ!?傘忘れてんだったら連絡してくれりゃ迎えに行ったのに」

「先輩今日飲み会で夕方から居ないと言っていたので」

「今度からはダメもとでも一度は連絡入れろ!」

「…俺が年下の女と分かってから本当に優しいですね。あ、此処にいると言うことはお米買ってきてくれました?」

「あ…本当に悪い今から買ってくる!」


 近衛雅也

 好み:年下の世話やき系の優しい女子


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