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3.ゆっくり広がる交友関係

この作品はご都合主義にもほどがあるってくるらい色々適当です。


 今日は高校1年生が入ってくる日で一般生徒は午前中に始業式を終える。

 その後、生徒会と吹奏楽部などが残り、入学式を行うと言うどこの高校でもあるような流れで進んでいく。

 昼ちょっと前。

 “夕食要らない”とメールが来たので今日は外食でもしようかと考える。

 先ほど部活の先輩から今日は部活がないと言うことで完全に暇になった。 


「凛、そのメール彼氏さんから?」

「いや、兄。今日は夕食要らないって連絡」

 正確には兄貴分に当たる人、ではあるが訂正の必要は無いだろう。

「は、ははは萩本お前この、この後暇か?」

 唐突にクラスの男子に声をかけられる。

 確か、去年も同じクラスの佐藤。特に運動部に入っている訳でもないのに運動神経が良いんだったか。

 そのどこぞの主人公みたいな佐藤はどこか挙動不審で顔が赤い。

「暇、と言えば暇だけど」

「クラスの奴らでカラオケ行こうって話になってるんだけど、どうだ」

「そう言う空間苦手だから遠慮しておく」

 どうにもああ言ったテンションについていけない。

 一人、もしくは二人程度で行くのがちょうどいいと個人的には思っている。

 合いの手?嫌いです。

「彩希、帰ろう」

「ごめん、愁君と帰る予定があるんだ」

「そう。また明日」

「うん、また明日」

 そうか、それは残念だ。

 おのれリア充め、末永く爆発しろ。


 


 なんやかんやで、TS病患者の多くは一度恋愛のスイッチが入るとかなり魅力的になっていくらしい。

 異性から見た理想的な人間像が把握しやすく、それになろうと努力するので相手から見て魅力的に感じやすいと言う統計結果が出ている。  

 どこぞの女子よりよっぽどオネェ系の方のほうが女子力が高いのと同じような理屈だ。

 そんな感じできっといつかは自分はそうなるのだろうと思いつつもそうなる相手は今のところいないな、と思いつつだらだらと勉強をして家事スキルを上げるだけ。

 などと考えていると、電話がかかってきた。

 『この携帯のやつ、近衛が酔いつぶれた』と。

 場所を伝えられ、そこに行くと完全に居酒屋の立ち並ぶところから少しだけ離れた公園だった。

「あーご兄妹の方か?」

「そんな感じです」

「悪い、こいつ羽目外し過ぎて酔いつぶれた」

「未成年の飲酒は犯罪ですよ」

 顔が赤く完全に熟睡している様子が見て取れる。

 酔いつぶれてるなこれ。下手に意識があって絡んでくる酔っ払いが一番めんどくさいのだが、寝ているのならまぁ、楽だ。

「まぁ、この人が流しに流しまくって色々飲ませたらこうなった」

「あ、うん。やり過ぎたわ」

「下手をしたら人命に係ることなのでお気を付け下さい。あと、自分非力なので家まで運べないので手伝ってください、タクシー呼ぶので」

「嗚呼」

「若き日の至りとか、青春だとか色々と言い方はありますが程々にしてくださいね」

 彩希曰く、俺は人見知りが激しいらしく知らない人の前では淡々としたキレているのかキレていないのかよくわからない状況に陥ることがしばしばとか。

「本当にすまなかった!」

「いえ、以後気を付けてください」

「私からも、調子に乗り過ぎちゃったと思ってるわ」

 

 取りあえずこの人たちが反省していることは見て取れた。

 先ほどの20過ぎた若々しいギャルっぽい感じのお姉さん、佐藤さんは幹事らしくそれをまとめないといけないと言うことで再三誤って去っていった。

 それと、家の場所を聞かれたので答えるとタクシー所ぶような距離じゃないから俺が運んでいくと言い、兄をおぶった状態で歩き始める。

「一応、自己紹介しとくわ。こいつと高校からの同級の相羽圭だ」

「どうも、高校二年の萩本凛です」

「萩本?でもアレ、こいつ近衛じゃ…」

「この先輩は生活能力が皆無と言うことで世話役の様な形で一緒に住んでいる者です」 

「嗚呼、なんとなく生活能力と言うか自分の興味あること以外完全にやる気がないと言う面ではなんとなく分かった」

 相羽さんはしっかりとした感じの肉付きでおそらく運動部に入っていた人間だろうと思いつつ、どこか苦労人みたいなオーラを醸し出していた。

「今後もご迷惑をおかけするかもしれないので、よろしくお願いします」

「嗚呼、萩本も男との生活で困ったら相談しろよ、年頃の女の子じゃ困ることもあるだろうし」

「あー、自分TS病患者なのでそれなりの理解はありますが、困ったことがあったらご相談させていただきます」

 そう言うと、ちょっと無言になる相羽さん。

 そんな空気なのだと思い黙ったまま、移動していった。

 相羽さんはマンションまで来ると、その建物に驚愕。

 こ、こいつやっぱボンボンだったか!?と。

 確か、ここから離れた所にある県内屈指の建設会社の会長の孫だったはず。

 先輩の家に遊びに行ったとき和風のどこぞの映画の世界だと驚いた記憶がある。

 後で聞いた話、このマンションもその会社が仕事を取ってきて作ったとか。

「とりあえずこれ。俺の連絡先だ」

 部屋のベットまで運んでもらうと、相羽さんにも連絡があり、急いで帰宅することに。それで帰り際に名刺を貰った。

「はい、ありがとうございました」

「ホント、困ったことがあったら言ってくれよ」

 そう言って軽く駆け足で帰っていった。

 完全にベットで潰れる先輩が少し緩んだ顔で寝ているのを少し面白く思いながら、少し頭を撫でた。

「この人は、周りにいい人ばっかだからどんどんダメになっていくんだな…」

 何かしみじみそう思った。


主人公の頭の中と声に出している言葉遣いの違いは、如何にか女として生きようと言う、主人公なりの女らしさの表現となります。

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