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11.家

お久しぶりです。

繋ぎの話なのでかなり短いことになっています。

 8月15日。

 年に二度ある聖地での戦争の日である。

 そんな日のなか、俺は久しぶりに自宅に帰ってきていた。

 鞄の中身は最低限度の着替えと財布と携帯。

 ボストンバック一つでどうにかなる身軽さである。

 炎天下の中、外に佇む趣味は無いのでドアを開け家の中に入る。

 極々普通の一軒家であり、玄関を入るとすぐ横に階段とリビングへの扉がある。

「ただいま」

「あら、お帰りなさい」

 リビングに入り、キッチンの方を見ると、エプロンをつけてのほほんと料理をする女性が一名。今年でアラフォーのはずなのだが外見は20代後半でも通じるであろう容姿をしている。

「結構速かったわね」

「うん、部屋の掃除と洗物して来ただけだから結構速く来れた」

「何と言うか、すぐにお嫁に出しても問題なさそうね」

「…そう育てたのは母さんだろ」

 そう告げて、2㎞近く炎天下の中あるったので汗をかき、少し気分が悪いのでシャワーを浴びることにした。

 夏休みの部活騒動からしばらくウィッグは着けておらず、長い髪のままでいることにした。結構あれ、蒸れる。

 浴びた後、ドライヤーで髪を乾かしていると、母が一着の服を持って入ってきた。

「お父さんが、何か似合うと思ったから買ってきたらしいのよ」

 どこか狙っている感があふれ出る白のワンピースを俺に渡してきた。

 ノースリーブでゆったりとした丈で、裾にフリルの付いたいかにもなワンピースである。……彩希姉に同じ様なもの貰った気がする。

 せっかく買ってきてもらったのだから着ることにする。

 ノースリーブだと完全にブラ紐がな…。キャミソールつけると少し暑いし。

 と、悩んでいると母がこんなこともあろうかととでも言うかのようにそう言ったものが気になりにくいものを用意していた。

「お父さんも、もうちょっと考えてくれればいいのにね」

「…元男から言わせてもらえば、多分そう言った思考に行かないと思う」

「そう?」

「うん」

 なんやかんやで服を着て、母にドライヤーをかけてもらいながら、髪をブラシで梳かされていた。

 何か気持ちいい。

「凛、表情柔らかくなったわね」

「…友達にも言われた」

「もしかして彼氏ができた?」

「ちがう!」

 そう力強く言わなくても…、と鏡越しに母がしょぼんとした表情をするが、そこら辺は今触れてほしくないのである。

「んー、この反応からだと普段から一緒に居る雅也くんじゃないでしょ?もしかして学校の同級生?いや、百合百合な方なのかしら。大丈夫よ、お母さん性別には寛容的だから!」

 …そんなに力強よく言われても困る。

 百合百合な展開は無いと断言する。…断言する?。

 その後も母の怒涛の質問が繰り広げられ、最終的に折れて少し話した。

「…ただこの前告白されただけだ」

 かなり遠回しのラブレターで。

「へぇ、そこで顔を赤くするってことは少なからず気はあるんだ…」

「よくわかんない」

「ふふふ、悩め若人よ。ってやつね」

 そんな俺の反応に母はただ笑うだけ。

 何かとても嬉しそうにも見える。

 そろそろ、お鍋の火を止めなきゃと言って立ち去る母の足取りは非常に軽かった。


「恋とか、良くわかんないんだよ」


 丁寧に梳かれた髪に指を通しつつ、そう呟くしかなかった。 




 母と色々と会話をするも、男は取りあえず胃袋掴んどけば問題ないとか、寛容さだけではないそれなりの独占欲があったほうが相手は安心するだとか、今の私にはよくわからないことばかりであったが、料理のちょっとしたテクニックを磨くことができたと言えるのだと思う。

 夕食時は家族3人で下らない会話をするとともに、温かさを感じた。

 母が父に

「凛に好きな子が出来たみたいよ」

「なん…だと!?」

「で、でたらめなこと言わないで!」

「パ、パパはみ、認めんぞ!」

 と言った一悶着があったりしたのはまた別の話。

…先輩が出ていない?

忘れていた訳じゃなく、この話は繋ぎなので(汗)

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