2章-6
「慎弥くん…自分で戻ってきたのか?」
「何がなんだかわかんなかったががむしゃらに手を伸ばしたら俺の身体が見えたから取り返しただけだ」
俺の呼吸はだんだんと落ち着いてきた。
「颯馬は?大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、この子はこれ以上の傷をおったこともある、ただ…傷跡は残るだろうね」
颯馬の方を見ると颯馬の身体は傷だらけだった。
しかし、その傷の上から今回で負ったばつ印の傷が生々しく刻まれていた。
「……それで?この数珠はなんなんだ?いい加減教えてくれるよな?」
「そうだね…もうごまかすことはできないね、その数珠は宗康が封印されているんだ」
「封印?魂とかが?」
「違う、精神、魂、肉体もだ。しかし、肉体はさすがに完全に残っていない、なんせ400年前の話だからね」
「なんで、封印したんだ?」
「本人に頼まれたんだ、僕達は魔砂を封印させたんだけど恐るべき強さを持っていた宗康にも協力してもらった。そして、その時に宗康は魔砂の力によって左腕を魔恐にされたんだ」
「ちょっと待て、魔恐にされた?」
「恐らく魔砂は宗康を魔恐にさせ暴走させ味方につけようとしたのだろう。しかし、宗康の強靭な精神力で左腕だけで留めたんだ。あのときの宗康の迫力はものすごかったよ」
J.Wは物憂げな表情をし、遠い目をし始めた。
「それで?続きを聞かせてくれ?」
「ああ、ごめんよ、そしてそのまま魔砂を順調に封印し一件落着…に思えたのは僕らだけだったんだ。宗康は左腕が魔恐になってしまっただけで周りの人に異形の者として腫れ物のように扱われていた。宗康はその苦痛にしばらく耐えてきたんだ。しかし、ある時僕の目の前に現れると彼はこういったんだ」
J.Wは静かに息を吐き出すと目を閉じた。
「このままだと俺は暴走してこの街を全滅させてしまうからそうなる前に俺を封印してくれないか、と」
「それで、お前は言われた通りに封印したのか?」
「その時の彼の顔を見れば誰だって封印させてあげたくなるさ、なんせそのときの彼は既に魔砂と戦った時の彼より大分性格が歪んでいたからね、僕はその時の最高品であった数珠を作り出しその中に肉体ごと封印した」
「封印ってそんな簡単にできるものなのか?」
「僕にとってはね、宗康の他に三人ほど封印しているよ、みんな頼まれたんだ」
「何で俺には宗康をつけたんだ?」
「……それは、宗康が一番強かったからといっておくよ」
「まだ、なにか隠すのか」
「まぁ時が来れば話すさ、ちなみにその数珠は慎弥くんの精神力の強さが宗康の精神力の強さを越えなければ外れないよ」
「俺は…越えられるのか?」
「無理、今の君にはね、でももしかしたら生きてるうちのいつかには越せるかもね」
「そんなに強かったのか…」
「だから慎弥くんの身体をあいつが使うのはまだ早いと思っていたんだが…」
「宗康が勝手に出てきていたと?」
「そうだ、その時点で僕が介入しなければ慎弥くんは取り戻せないと思ったがまさか自分で戻ってくるとは…」
「ま、おれをなめんなってことだな」
俺はそのまま倒れ込むと死んだように眠り込んだ。
「しかし、さすがというべきか…異常と言うべきか…血は逆らえないというか…強くなるスピードが尋常じゃないね」
颯馬の傷が塞がるのは異常に早くにわずか二週間で傷は塞がった。




