2章-4
颯馬の手元は数秒間光ると双剣へと展開させると周りで暴れまわる鞭で片方の剣で絡めとるともう片方の剣で叩き斬った。
「刀が二つに増えただけじゃん」
「それがすごいんだけど、慎弥くんにはわかんないか、展開スピードはまだ遅いけどやり遂げたね、人類の壁をひとつ越えたね」
「なによ、折ったって一緒じゃない、魔砂の嘘つき」
颯馬は双剣を空中に放り投げるとポケットから消ゴムをだし銃に展開し酩砂の全身に乱れ撃ちした。
酩砂は銃弾が着弾するごとに踊るように身体を揺らし、倒れた。
「…展開」
颯馬は銃を空中に投げ展開を解除すると入れ替わりで折れたシャーペンを持ち再び展開させ、酩砂にほぼ一瞬で近寄ると極限のスピードで倒れている酩砂に向かって交互に剣を振り下ろした。
「すごいスピードだな…俺にはもうなにがなんだか…」
しかし、激しい血飛沫を浴びながら剣を振り下ろしていた颯馬の動きが不自然に止まると颯馬は重力に逆らい飛び天井に激突した。
「私にも限界ってものがあるのよ?放っておけば好き放題遊んでくれちゃって」
立ち上がった酩砂は人間の姿ではなかった。一瞬肉の塊になり空中に浮いたかと思うとその塊が弾け飛び中から身長が120センチあるかないかの耳が異様に長く爪が刀の刃並みにながく羽のはえたまさに悪魔と形容するに相応しい少女が現れた。
「やっと本体か…」
颯馬はゆっくりと立ち上がった。
「よくやったね、颯馬、恐らく再生能力はなくなったはずだ」
「よくわかんねえがあれなら俺にも倒せそうだ」
「あのねぇ本体が小さいからってなめないでくれる?まぁあなたはあとからよ、まずはあなた、死以上の苦しみを与えてあげるわ」
酩砂は颯馬の方に爪を向けると猛スピードで颯馬に爪を振るった。
「くそ…!」
颯馬は防御に回り双剣で酩砂の爪を防いでいた。
「弱ってるんじゃない?」
酩砂はクスクス笑うと爪を振るうスピードを増した
「伸弥くん、出番じゃないのかい?」
「いや、まだ颯馬は戦ってる、今加戦したら俺は颯馬に殺される、これは颯馬の戦いだ」
「…分かったよ、なにも言わない」
「まあ殺されかけたら俺が救世主として助けるけどな」
俺はにやっと笑うと颯馬の戦いに目を向けた。
「なめるな!」
颯馬は双剣をクロスさせると酩砂の爪を弾き返すと反動で反り返った酩砂の胸に双剣を同時に突きだした。
しかし、酩砂は反動を利用し、身体をそらすと颯馬の攻撃をよけた。
「甘いのよ」
酩砂は身体をそらしたまま両手で颯馬の双剣を挟むとそのまま両手を捻り、颯馬も双剣の動きにつられて、宙を舞った。
颯馬は空中で無理やり酩砂の手から双剣を引き抜くと展開を解除し代わりに銃を展開させそのまま地面に背中をつけた。
「なにがしたいのかしら?」
颯馬は飛び起きると酩砂から距離をとりながら銃を乱射した。
「銃は私には遅すぎるのよ」
酩砂は銃弾をすべて片手で たたききると颯馬の目の前に移動し銃を弾き飛ばした。
「な!?」
「まだ殺さないわよ?」
酩砂は10本の爪をクロスさせると銃を弾き飛ばされた反動でのけ反っている颯馬の上半身に向かって振り上げた。
その瞬間颯馬から大量の血が飛び散り颯馬はその場に倒れた。
「まだよ?まだ死なないでしょ?これからよ、これから私がされたようにめったざしにしてあげる!!」
酩砂は10本の爪を重ねるとそのまま振り下ろした。
しかし、ガキーンという音とともにその攻撃は防がれた。
「生きてるか?」
「…あたり…まえだ」
颯馬はそういって気を失った。
「あなたはよっぽど死にたいのね?」
酩砂は俺の刀から爪を離すと俺から距離をとった。
「何が救世主だ。全然間に合ってないじゃないか…もっと早く、もっと速く…」
「何をぶつぶついってるの?気持ち悪いわよ」
「だまれ」
俺は颯馬に匹敵するスピードで酩砂に近づくと刀をその勢いのまま突きだした。
「あなたは一振りに力を入れすぎて大振りなのよ、だから、弱いの」
酩砂は片手の爪で俺の突きだした刀の先端をつかむと俺を背負い投げの要領で投げた。
「グハ…!」
「いいわ、あなたもめったざしにしてあげる」
「くそ、一撃も食らわせられないのかよ」
[おい!ピンチだよな!な!でていいよな!これは!]
突如俺の左から声が聞こえてきた。
「だめだ!」
「どうしたの?急にこの子達の心配?もう無駄よ?」
「違う!その子達は僕が放っといてもお前を越える!でも…お前はだめだ!」
「…は?」
[いいだろう!どう見てもこれはピンチだ!おい小僧!聞こえてんだろう!この数珠に意識を向けて展開しろ!]
「数珠がしゃべってる?んなわけないか…じゃあ誰がしゃべってるんだ?」
「どうしたの?恐ろしさのあまり幻聴でも聞こえるの?」
[小僧!細かいことはきにすんな!とりあえず展開しろ!死にてえのか!]
「だめだ!まだはやい!今の慎弥くんには押さえきれない!暴走するぞ!」
「…なんか、よくわかんないけどよ…暴走だかなんだか知らないが死ぬよりましじゃないか?」
「伸弥くん!」
「うるさい!展開!!」
「さっきからごちゃごちゃうるさいのよ!私を挟んで会話しないでっていってるでしょ!」
俺は数珠に意識を向けた。その瞬間に数珠が震え全身に衝撃が走った。
酩砂が爪を振り下ろすと同時に俺は俺でなくなっていた。




