プロローグ
「えーそれでこのXはこのYに代入してだな…おい、山田聞いてるのか?」
「すいませーん、先生の言葉すべて子守唄に聞こえまーす」
クラスメイトはまばらまばらに苦笑いしている、確かにこの先生の言葉はいい感じの子守唄になる、しかも数学だからよりいっそうだ
「ふあーあ」
俺は大きなあくびをし、うつ伏せになった
「山田、そんなんじゃおまえ進学で」
先生の言葉は途中で途切れその代わり教室中に窓ガラスが一斉に割れる音が響いた
「なんだ!?」
俺は急いで周りを見回すと教室内はパニックになった生徒達が青ざめた顔で教卓を眺めていた
そこには、一人の着物を着た若い男が教卓の上でいわゆるヤンキー座りをして先生の頭をつかんでいた、先生の首から下はどこへ消えたのかどこにもなかった
「きゃ…きゃーー!!」
「うるさい」
男は先生から手を離しほとんど一瞬で女子生徒の目の前へいくとどこからか刀を出し首を斬った
「なん、なんだ?」
おれがやけに冷静な頭でそれを眺めていると周りの人間はわめきちらしだし四方八方へ逃げ出した
しかし、みんな教室からでる一歩手前のところで男に首をとられていた
男はクラスメイトを斬殺すると俺の目の前までジャンプし華麗に着地した
「君は怯えないんだね」
男はやけににこにこと笑いながら俺の頭に右手をちかづけてきた
「展開!」
突如男の真後ろから声がし、男は一瞬で姿を消した
「ちっ逃がしたか…」
「生徒…?」
先ほどまで男がたてっていた場所には俺と同じ制服を着た男子が立てって周りを見回していた、異様なところがあるとすればこの男子も刀を持っていたことだ
「よく殺されなかったな」
「なんでだろうな…」
俺は知らず知らずのうちに涙を流していた
まだ、涙を流せる心が残っていたことに心から感謝した
「行くぞ」
「どこに?」
「こうなった以上おまえを巻き込むしかあるまい、使えるかどうかは分からんが…」
俺はこのとき悟った、もう二度と平和な、教室のあのだらけた空気を味わうことはないのだと…
俺は涙をぬぐいあの男とクラスメイトの惨劇を頭と胸に刻み教室からでた




