家での様子⑤
「うう、なんだか重い」
いつもなら体はなんともないのに今日に限って体が重い。
風邪ひいたかなと思って目を下に向けたところで原因が分かった。
乃絵ちゃんが抱きついて眠ってしまっているのだ。
見とれてしまうほど可愛いけれど、ここでずっとそれを眺めているというわけにはいかないので優しく引き剥がして、部屋から出る。
「よし」
気合を入れてから、私は朝食とお弁当の準備をする。
居候させてもらってるんだからこれくらいはしないといけない。
だからこそいつものように作っていると、次々と人が起きてくる。
「おはようー。って美佳?ご飯用意してくれてるの?ごめんね」
「いいよー。気にしないでね」
「ありがとう。みんな起こしてくるね」
「あ、ありがとう」
最初に起きてきた悠里が私を見て驚いたような表情をしてから既にテーブルに並べられていたのを確認して起こす方をかってでてくれた。
テーブルに料理を並べ終わって、お弁当におかずを詰め込んでいく。
「おはようー」
「おはよう美佳ちゃん」
「おはよう美佳」
「連れてきたよ美佳」
「うん、みんなおはよう」
今日は初日でみんなの好みがあんまりわからないので、簡単にオムライスにして、お昼は卵サンドとレタスサンド、おかずには唐揚げや残ったレタスなどのちょっとサラダとフジッコさんからお世話になった豆のものを入れておいた。
「美味しいよ、美佳おねえちゃん」
「ほんとうまいなー。あたしも今度教えてくれない?」
乃絵ちゃんと舞姉は早速という感じにご飯を食べ始めて、伯母さんは簡単に飲み物をテーブルに持ってくる。
悠里はというと、外に新聞を取りに行っている。
私もはやめにご飯を食べてしまう。
いつもよりいい感じにできたかも。
普段はこんなものでいいかな自分で食べるだけだからと思って卵の焼き加減が適当だけど今日は誰かに食べてもらえると思って作ったので、いつもより卵のトロトロ加減が絶妙でいつもより味わって食べてしまう。
そのまま伯母さんと悠里も戻ってきて、ご飯を食べ始めたのだけど、伯母さんがふと何かに気づいたように口を開く。
「美佳ちゃん。ブラつけてないの?」
「ほえ?」
「「「げほげほ」」」
それを聞いた三人はむせて、私は意味がわからず一度フリーズして、そういえばと思い出す。
昨日寝る前にさすがに寝るときは窮屈だからってブラを外したんだった。
だからあれからノーブラで過ごしていたってことだよね。
うわー、やっちゃったな……
そう考えるけど、別に恥ずかしいというのはなかった。
逆に若干空気が気まづくなったような感じがする。
特に三人のチラチラとこちらを見る視線が……
「でも、いいのよ。自分の家と同じように過ごしてくれたら」
だからブラをつけに行こうか迷ったところに伯母さんがそんな追い打ちをかけてくる。
私はその優しさを嬉しく思いながらも、逆に抜け出せるタイミングを見失った私はただ黙々と朝ごはんを食べるのだった。