私の中に眠るもの⑤
「ここがメイド喫茶、ポワリンです」
そう言われて案内されたのは落ち着いた感じの外装とは異なる、中はいたるところにアニメなどのグッズが置いてあり、個性豊かなお姉さんたちがお店を歩いている。
そこで気になったのは一人一人の制服が微妙にというよりかなり違うように見える。
どうやら先ほど案内してくれたお姉さんはビラ配りを次の人と交代したようで私の方に寄ってくる。
「それでは席に案内しますね」
「はい、ありがとうございます」
「いいえ、ご主人様」
ご主人様……
いい響きだと思う。
正直なところ、お嬢様と呼ばれるよりもご主人様と呼ばれたほうがむしろ嬉しい。
なんてことを変なことを考えていると、席に案内される。
「こちらにお座りくださいませ」
椅子を引くのでその椅子に腰をおろしたところで、すっとメニューが差し出される。
かっこいいー。
そう思うくらいにその仕草の一つ一つが妙に板についていた。
とりあえず何か頼まないとお店に入った意味がないので、メニューを開く。
少し店内はおしゃべりなどで騒がしいけれど、私とこのメイドさんの周りは静かな空間が広がっているように感じる。
「それじゃ、お帰りなさいませセットで」
「かしこまりました、ご主人様。お飲み物はどうしましょうか?」
「うーん、ミルクティーで」
「かしこまりました、ご主人様」
注文を取ったメイドさんは注文などを伝えにカウンターの方に向かったところで、違うメイドさんがこちらに寄ってきた。
「どうもー、ご主人様。少しお話しませんか?」
「いいですよ」
そしてやってきたメイド服をラフに着崩して、少し甘ゴスにしたような感じの改造メイド服に身を包んだ女の人なのだけど、声や口調が全然違う。
たぶん、このお店は特にメイドさん一人一人の個性を大事にしているのだろうと思う。
例えば制服であるメイド服の着方なども人によって違うのである。
そう、このラフに着崩した人だと、鎖骨が妙に艶かしいし。
あれを甘噛みしたいなー。
なんて変態なことを考えていると、元気なメイドさんはこちらににっこりと微笑む。
「今季のアニメで好きなのって何がある?」
そして悪魔の囁きを私にするのだ。
それは、オタクとして答えなくてはいけないこと……
私はキリリと表情を引き締めると、こちらから先制とばかりに好きなアニメの話しを語り始めた。




