突然のデート計画⑭
こんな可愛い子を人前に晒していいのかな?
そう考えたところで自分に言い聞かせる。
大丈夫……
私はまだ興奮などしていない。
そうだ鼻血なんか出しそうになっていない。
少し見えないように鼻をつまむ。
ふー……
心をなんとか落ち着かせた私はなんとか鼻血を我慢しながら雅人君の肩に手をおく。
とりあえず落ち着くんだよ私……
なんでここで肩を掴んだんだ?
なんとか思考を落ち着かせようと自分の中で戦っていたところ、美少女雅人君はその私のことを不思議そうに見返してくる。
おふ、上目遣い……
それが身長のせいでどうやっても上目遣いになってしまうのは殺人的な可愛さをかもしだしていた。
必死にハァハァという興奮した声と、ペロペロしたい欲望に耐えてようやく息をついた。
「とりあえず、それでいいと思うよ」
そしてもう一度その着ていた服を見てそう言うと雅人君は満足気に頷く。
「うん、可愛いよ」
「ありがとう」
嬉しそうに言う雅人君の顔が妙に可愛くて、私の鼓動はただドキドキと高鳴った。
そんな私のことを感じさせずに次の行動に私はうつる。
「それじゃ、次は雅人君の女の子のときの名前を考えないといけないね」
「それか……」
そう、デートをするというのはいいとして、その中で男の子の名前を呼んでいるとおうしてもおかしく思われるかもしれないのでそうならないための予防処置というものだ。
うーん、でもいい名前ってあるのかな?
こういうのは名前を少しいじったりするものだけど、どうなのだろうか?
うーん……
少し悩んでいると、雅人君がこちらに何かを決心するように見る。
「あの、実は名前ならあるんだよ。マトって」
「マト?」
「うん、男でも女でもいけるような名前だからってつけたんだよ」
なるほど、確かにマトなら女の子でもいけなくはない。
それにあだ名というか親しみを込めてマーちゃんなんて呼んでみたらどうだろう。
これは使えるよね。
私は頷く。
だけど、疑問がでてきた。
さっきの言い方だとその名前を考えたのは雅人君じゃない誰かということじゃないのかな?
私の他に誰かいるのかな?
そんな思いが頭の中でぐるぐると回り始めた頃、今度は雅人君から口を開く。
「あと、俺……私の言葉使いとかはこれで大丈夫かな?」
そう言われて考えていたことを頭の隅に追いやった。
「そうだね。今から特訓だね」
そして私は雅人君、女バージョンのマト君にちょっとした女性の仕草を覚えてもらうべく、私は指導にはいったのだった。




