家での様子①
とりあえず新妻、もとい俺の嫁の悠里にカバンを渡すことなく台所に入っていく。
なんで荷物を渡さなかったって?
そんなの私の重い荷物を悠里みたいな可愛い子に持たせられるわけないじゃない。
「美佳?みーかー?」
「うん?」
「あーん」
「あーん」
「美味しい?」
「美味しいよ」
わかったかー。
席について少しボーッとしている私にゆっくりとあーんをしてくれる悠里にカバンなんてものを持たせられないっていうことを。
そしていつも変わらない美味しさのガトーショコラ……
私が男ならと思ったことは一度や二度じゃないのに。
そう、私は昔から三人のことが大好きだった。
そして私はそんな大好きな三人ともっと時間を作りたくて勉強も運動もそれなりにできるようにした。
そう思っていたら今度は優秀になりすぎちゃって……
そんなときに色々悩みをもった。
そのとき出会ったのがアニメなどといったオタクと呼ばれる文化だった。
そして私はいつもとことんやる性格だったのかどっぷりとハマってしまい。
今では残念な頭の中と優秀な外面が分けてあるというものになっていた。
という私のちょっとした回想を頭の隅に追いやって、コーヒーを飲みながらゆっくりとガトーショコラを食べる。
その一つ一つの動作が綺麗な動作に見えていることを美佳本人は実は気づいていなかった。
私が優雅に食べてそれを三人が真似をするという私が気づいていな出来事が行われながらも時間は過ぎていって。
「ただいまー。」
玄関から伯母さんが仕事から帰ってきた声がする。
もう、そんな時間なんだ。
よし、ここは私が人肌脱ぎますか。
「じゃ、今晩は私が晩ご飯作るね。」
「え、美佳が?」
「いいの?」
「美佳おねえちゃんの料理食べたーい。」
「うん、任せなさい。」
腕まくりをする仕草をして、台所に向かった。
ここで言っておくのだけど、基本的に成績がよくなんでもできる人は料理が何故か苦手ということがよく小説ででてくるのだけど、そんなことは普通はなくて料理は回数を重ねるごとに上達するものだ。
冷蔵庫の中身から今日はハンバーグを作ることに決めて、準備していく。
ちなみに付け合せはバターコーン炒めとインゲン、そして人参。
お汁ものはお味噌汁を用意してっと。
手際よく料理をしていると、こちらに近寄ってくる人を感じる。
「ごめんなさい美佳ちゃん。料理してもらっちゃって」
慌てて近寄ってきたのは伯母さんで、どうやら先ほどまで自室にあるマッサージチェアに座っていたのか服が多少はだけているのは仕方ないとして、私のお母さんもそうだけど、なんでこんなに若いのだろうとついつい姿を見て思ってしまった。
特に胸元からチラリと見えるブラとかね。
私はおっさんかと言われて仕方ないけど、中身はおっさんだからいいのだ。
そんな変なことを考えながらも料理を確実に作り、伯母さんには笑いかけながら。
「大丈夫ですよ。私料理好きですから。」
そう完璧な表の表情でそう言ったのだった。