こ、こんなのって⑫
その後の出来事は煩悩が覚醒したとだけ言っておこう。
そう、私の中の煩悩が覚醒したのだ。
あの後はあの子が自分の胸の大きさを知らないというので測ってあげて、そしてそれを測った後にはその子の下着を選んであげてなんてことをしていると……
乃絵ちゃんに怒られました。
そりゃそうですよね。
実は乃絵ちゃんは途中から私の姿が見当たらなくて心配になって泣きそうになっていた。
本当に私のミスで乃絵ちゃんに心配をかけてしまって……
情けないよー。
ちなみにその後はみんな合流してクレープを食べているうちに乃絵ちゃんと仲直りしてなんとかなった。
一応あの時に買った服は帰った後に個別に渡すつもりでいたのでみんなに中を見られないようにして歩いていると、少しトイレに行きたくなる。
帰りも車で舞姉が運転するだろうけど、その時にトイレ行きたいなんて急に言っどこかにトイレがなかったらどうしようもなくなるので、私はとりあえず荷物を悠里に預けて、トイレに向かった。
ふー、スッキリ。
トイレを終えたところで舞姉が車を停めているところに合流しようと駐車場を歩いていたときそれを見てしまった。
それは本当に偶然だった。
あの、本屋でぶつかって下着売り場で一緒に買い物をした運命のようなものを感じる女の子を見かけた私はなんとなくその子の後を追っていた。
あ、なんで追ってるんだろう?
でも、そうだよね。
あの子の名前とかって聞いてなかったから、その偶然を装って出会うような感じにしてよかったら名前を教えてくれませんかというのも言ってみればいいんだよ。
そう心に決めた私はなんでか隠れるようにしてその子の後を追っていった。
するとその子は駐車場の一番見えにくい位置に移動すると、ワンピースの下からおもむろにブカブカのズボンをはいて、上にもブカブカのTシャツを着るとその間から抜くようにしてワンピースを脱ぐ。
?
何してるんだろう?
そう疑問に思った。
だってこんな、人目にはつかないとはいえ外で可愛い子が着替えるなんてことは常識的に考えておかしいし、それになんでわざわざブカブカの服なんかに着替えたんだろう?
とそこで自分の頭の中に一つのひらめきがある。
だけどそれを頭の中で否定する。
まさかね……
だけどその後私が考えていたことが現実になった。
その子は何かを唱えるように口にするとその体が青白い光に包まれた。
そしてその後そこにいたのは先ほどのボブカットで可愛い年下のような女の子ではなくて短髪に切りそろえた青年だった。
やっぱり、もしかして私の逆バージョンのことになっている人がいるんじゃないかって思っていたけど本当にいたんだ。
たぶんあのよくわからない何かに願ってそれを叶えてもらったんだろうと思うけど……
そんなことを考えながらもまだ一歩もその場所を動けなかった。




