こ、こんなのって②
どこかによるということもなく家に帰ると乃絵ちゃんの満面の笑みがみえた。
今日も可愛いなー。
私もにこやかに笑いかけながら心の中で邪悪な笑みをこぼして抱きついてきた乃絵ちゃんを抱きしめる。
「心配したよー」
少し涙ぐんだ声を聞いて私は胸を掴まれたような気分になった。
っとそこで乃絵ちゃんが何かに気づいたようにはっと顔をあげる。
「美佳おねえちゃん、ブラどうしたの?」
「えっ?」
そして放たれた一言に私は硬直した。
あっれー。
私病院をでる前に病室でつけなかったっけ?
思わず自分の胸元を確認してやってしまったと思った。
少し汗ばんだ服にピッタリと肌がくっついて、ははは、ブラなんてものは飾りですよ、つけなくていいんですよ。
という風に言っているかのごとくブラをつけていないのがまるわかりだった。
これって私が変態みたいじゃない。
慌てて胸を隠すと乃絵ちゃんは舞姉をジトリと見ていた。
「なんで言ってあげなかったの?」
そこは年下ながらもお姉ちゃんをしかるようなそんな仕草で起こっている乃絵ちゃんを可愛いと思いながらも、私は逃げるようにその場を後にした。
服を着替えてから悠里の部屋に向かう。
その時はまだ乃絵ちゃんが舞姉を叱っていて、私は少し笑ってしまった。
叱られている舞姉のほうは少し泣きそうになっている。
なんだか、姉妹が逆転しているように思えた。
そんなことを頭の隅に追いやって悠里の部屋にノックもせずに入ると、着替えている悠里にでくわした。
「あ、美佳おかえりなさい」
着替えを見られているのをまったく意識していない悠里はそう言ってからゆっくりと服を着た。
「ただいまー」
私も普通に悠里の部屋のベッドにダイブする。
「あ、ほこりたつでしょー」
「いいでしょ別にー」
「なら私も」
笑いながら二人してベッドにダイブする。
ボフンと反発して少しはねてから笑いあう。
こういう何かがあった後で一番何もなく接してくれるのは実は悠里だけで、乃絵ちゃんや舞姉はかなり心配する。
それもそのはずで、悠里とは一番の長い付き合いだからだ。
年も近いことからよく一緒に遊んだ中なので私と悠里は一番互いの距離というのを理解しているのかもしれなかった。
そしてこの久しぶりと感じるこの家の空気を感じながら、私と悠里は眠っていた。




