8話 2日目の1
「フミちゃん、朝よ~」
「…もう朝か。やれやれ、思ったより寝付けなくてねぇ」
「と言うより、予定より30分遅いから急いで食事を取らないと」
「おや、それは危ない…下に下りよう」
7時30分に起きる予定が8時になってしまい、慌てる2人。
下に下ると、昨日受付をしていたお姉さんが居た。
「おはよう御座います!朝食セット700Gですが、どうですか?」
「ではそれを2人分」
「はい、朝食セットを2つですね。飲み物は牛乳とコルフィがありますが?」
「コルフィ?」
「あ、プレイヤーさん達が言うには、コーヒーと言うものに似ているらしいですよ?」
「じゃあ私はそれで。サクラは?」
「私は牛乳でお願いします」
「はい、わかりました!それでは少々お待ちください」
二人用の小さめなテーブルがあったので、そこの席に座る。
座ってから5分程、黒いパンとスープ、サラダとベーコンといったメニューが運ばれる。
「黒パンはスープに付けて食べてくださいね。じゃないと硬いですから」
「おや、硬いのかい?ではそうしようかね」
「あら、この果物ってなにかしら?見た目は林檎なのに味がグレープフルーツ見たい…」
「それはナッシュって言う果物です」
「ナッシュ、ね。今度料理とかに使えないか検討しましょうか」
副職業『料理人』によって料理の品質が自動的に1上がる今、様々な料理に挑戦してフミを喜ばせたいと言う思いが大きくあるサクラだった。
「料理に、というよりタルトに使うのが一般的でしょうか?あとはジュースにすると美味しいですよ」
「お菓子作り!そういう手もあるわねぇ…今度試してみましょう」
「おーい、サクラ。手が止まっているよ。急いで食べないと」
「あ、あら。ゴメンねフミちゃん、ちょっと急がないと遅れるわねぇ」
黒パンをスープに付けながら、少し急がせる。
スープの味がコンソメっぽい味なので、昨日のスライム核スープの味と比べてしまい、残念がる。
「あれ、家のスープは結構人気があるんですが…うーん?」
「あ、あぁすみません、ちょっと昨日の夕食を思い出していまして」
「…ん?昨日、夕食、スープ、白髪、赤髪…あぁ!昨日スレで話題になってた!?」
「…NPCもスレが見れるんだった…あの、今殆ど人が居ないからいいですけど、出来る限り内緒にしてください」
「あ、す、すすすすみません!」
「いえいえ、次からは気をつけてくださいねぇ。ごちそうさま」
「ごちそうさまでした。えっと、御代は?」
「700Gが2つ、あと宿代300Gが2人分ですので、2000Gです」
「1000Gずつか…お金ってどうやって取り出すんですかね?」
「ウィンドウのアイテム欄にある所持金と言うところを開いて、出したい金額を入力することで出てきますよ。因みに1Gが白、10Gが黒、100Gが青、1000Gが赤、10000Gが黄、100000Gが緑の硬貨です」
「えっと1000Gっと…おぉ、赤いこれだね?」
「そうです…はい、確かに合わせて2000Gです。有難う御座いました!今日も是非『ぽんぽこ亭』を利用してくださいね!」
ぽんぽこ亭から出て、直ぐに広場に向かう。
既に紅は待っていて、二人の方が遅かった。
「おや、待たせてしまったかね?」
「いえいえ、ちょっと前に来たので大丈夫ですよー!」
「今日は何処に行こうかしら?」
「そうですねー…ちょっと遠出しません?東の森の中まで」
「何か違うのかい?」
「森の中は北の街道の次にここら辺では強いんですよ。レベル1でも行けるって話はよく聴くので」
「あら、そうなの?どうする、フミちゃん?」
「紅さんに合わせるよ。レベル上げも早くやりたいからね」
「分かりました!では行きましょうか…って、お昼は?」
「3人分サンドウィッチを確保しておいたよ」
「飲み物もちゃんと持ってきているわよぉ」
「じゃあ行きましょう!」
三人は昨日の草原を超え、森へと向かう。
東の森…彼らは知らないが、『初心者殺しの森』と呼ばれるその森に、彼らは入っていった。