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7話  1日目の7

「ご馳走様でした!あー、あんなの食べたら店売りの料理なんて食べられなくなっちゃうよ~…」

「そんなに美味しかったかしら?」

「家で何時も食べている味、とまでは調味料の関係でいかなかったけど、美味しかったよ、サクラ」

「フミちゃんからそう言って貰えると安心するわぁ」

「この味を何時も…羨ましいなぁおじいさん」


食事を終え、くつろいでいる三人組。

と、彼らの料理を買って夢中になって食している周りのプレイヤー達。


「うめぇ…このゲーム内で10日は経ったけど、このレベルの料理は初めて食べたぞ…」

「この美味しさであの値段ならちょっと無理してでも買う価値があるな」

「うちのギルドの専属料理人になって欲しいレベルだな…ねぇねぇ、うちのギルドに来ない?」

「あ、ずりぃぞお前!うちのギルドも良いよ!」

「私とフレンド登録お願いします!て言うか、私達とパーティー組みましょう!」


賞賛と勧誘の声がプレイヤー用の作業場で響き渡る。

そんな声に適当に返事をしながら、宿を探しにいく。


「お誘いは嬉しいけど、私とサクラはキャラクターが若いだけで老人なのでね。自由にゆっくりとやりたいんだよ。だから、特定のギルドに入ったりはしないし、基本は二人だけだよ」

「紅さんは初心者の私達に色々と教えてくれたから、料理を振舞っているのよ。だから、今日か明日くらいには離れるかもしれないの」

「えぇ!?私、お二人と一緒が良いです~!友達はゲーム苦手だからVRMMOに手を出さないから寂しいんですよー!」

「おや、そんな事情があったのかい?なら、一緒にやろうか」

「これからも宜しくね、紅さん」

「はい、宜しくお願いします!…あ、でも、さっきの戦闘を見る限り、情報は私の方が知っていますけど、戦闘はお二人の方が上手なので…足引っ張らないように頑張ります!」

「いやいや、こちらが後輩、そちらが先輩なんだ。こっちが足を引っ張らないように、頑張るよ」

「あ、そうだ。宿屋ってどこにあるかしら?」

「プレイヤーで『宿屋通り』って命名した、広場から南側に向かってまっすぐ伸びた大通りに何件も建ってますよ。お勧めは『猫じゃらし亭』で、猫耳生やした獣人じゅうじんのお姉さんがやってるお店なんです!私もそこで泊まっているんです!」

「あら、そうなの?でも、私達は自分で探してみるわねぇ、それじゃあ、またゲーム内の明日会いましょうね」

「明日の9時頃…おっと、時間とかは分かるのかい?」

「視界右上に時計表示の有無を設定できますし、タイマー機能もありますよ」

「おや、そうかい。じゃあ、明日の9時、教会前で」

「はい、おやすみなさーい!」


作業場から出て、紅に手を振ってから南に向かう。

しばらく歩くと、様々な宿屋が並ぶ『宿屋通り』が見えてきた。


「ねぇフミちゃん、どこに泊まろうかしら?」

「朝食が美味しい所が良いなぁ。さて、と…あそこはどうかな?」

「えっと…『ぽんぽこ亭』?」


3階建ての木造の宿で、目印は狸の顔の形の看板である。

早速中に入ってみる事にする。


「いらっしゃいませー!『ぽんぽこ亭』にようこそ!何名様ですか?」

「2人です。部屋は同じでも大丈夫です」

「あ、はーい!では2階の一番奥、右側のお部屋でも宜しいでしょうか?」

「何処でも大丈夫です」

「はい!朝食は7時30分から9時までとなっていますので、遅れないよう気をつけてくださいね!」


狸の耳と尻尾を生やした18歳位のお姉さんが受付を担当しており、話はスムーズに進む。

『尻尾触っても良いですか』とは流石に聞けなかった。

フミこと章雄は、もふもふとしたものが大好きなのだ。


「ふむ…明日にでも、触っても良いか聞いてみよう」

「尻尾?かわいかったわねぇあの人。私も触らせて貰おうかしら」


そんな話をしながら、階段を上がる。

手すりがなくてもスムーズに上がれる事に感動しつつ、自分達の部屋に移動。

部屋の中には、勉強机に似た机が2つ、クローゼットが1つ。

ソファーが1つと、そしてベッドが…1つ。因みに枕は2つである。


「…いらない所で気が利くね、この宿屋」

「そ、そうねぇ…で、どうしようかしら?」

「まぁ、一緒に寝るしかないんじゃあないかな?…1つのベッドで一緒に寝るのは、何時以来かな?」

「…何時以来かしらねぇ…?まぁでも、もう疲れたねぇ…」

「そうだね、それじゃあ、お休みサクラ」

「えぇ、お休みフミちゃん」


ベッドに潜り込む2人。

そして、寝ようとするのだが…


「…サクラ?なんで抱きつくんだい?」

「あら、昔はよくやってたじゃない?」


背中を向けていたフミに抱きつくサクラ。

結構サクラは力が強い。その力でギュ―ッとされると、結構痛いのだ。


「いたたたたた!ちょっと痛いから止めて!」

「むー…いいじゃない、久しぶりにやるんだし、寒がりなんだし」

「…そういえばそうだったね。仕方ない…でも、もうちょっと緩めてくれないかね?」

「分かったわ…今度こそお休み、フミちゃん」

「うん、お休み、サクラ」


今度こそ眠りに付く2人。



因みに、目覚まし設定をし忘れているのだが、お互いに気付かなかった為、7時30分位に起きる予定が8時に起きることとなった。

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