3話 1日目の3
「そういえば、東西南北、何処の門から出れば良いのだ?」
「そうねぇ…強そうな人から聞いてみよう!」
「それもそうだな…」
広場で強そうな人を探すことにする。
数分歩いていると、巨大な剣を背負った金髪のキャラクターを見つける。
金属鎧も付けてるし、結構強そうだ。
「すみません、そこの方」
「あ、俺ですか?えーっと、初心者さん?」
「えぇ、つい数分前に始めたばかりの新参者のフミ、です」
「一緒に始めました。サクラです」
「お、最近そういう丁寧な初心者さんって居なくてねぇ。あ、俺はライガ」
「ライガさん、ですね。実は新参者ですので、全くこのゲームについて知らないんです。そこで、誰か強そうな先輩にアドバイスを貰えたら、と」
「あー、うん、分かるよその気持ち。俺も今作を3時間前…ゲーム内では15日しかやってないから、余り詳しくはないけど、出来る限り答えるよ」
思ったよりもプレイ時間は少ないが、良い人だ。
さっそく、質問をしていこう。
「で、アドバイスって、具体的に何を?」
「そうですね…この街は門が東西南北四つありますよね。どの門から出れば良いか分からなくて…」
「なるほどね。結論から言うと、ここから北の門以外はあんまり変わらないよ。北は次の町に続く街道があるけど、北側は敵が強く設定されててね。北以外から出てレベルを上げるのが良いよ」
「あ、ライガさんのステータスを見せてもらっても良いですか?」
「あぁ、良いよ」
ライガ Lv16
主職業:戦士
HP 198/198
MP 74/74
Str 65(93)
Vit 48(76)
Agi 56(40)
Int 32(32)
Luk 23(28)
「分かると思うけど、Strは力強さ、Vitは頑丈さ、Agiは素早さ、Intは賢さ、Lukは運だよ。カッコ内の数字は装備も含めた総合数値だね」
「なるほど…ライガさんの大剣の攻撃力は28ですか?」
「そうそう。全部初期装備ねこれ。あ、君のステータスは?」
「俺の、ですか?えっと…」
フミ Lv1
主職業:足軽
HP 98/98
MP 34/34
Str 46(64)
Vit 24(38)
Agi 40(40)
Int 24(24)
Luk 18(18)
「ふんふん。ならまぁ…多分街から3キロ位離れた場所でも大丈夫か?魔法使いの仲間も居るんだし」
「アドバイス有難う御座いました」
「こっちも久しぶりに先輩っぽい事が出来たから良いよ。それじゃ、二人とも頑張れよ!」
「有難う御座いました!さぁフミちゃん、行くよ!」
「あ、走るな馬鹿!」
ライガからのアドバイスに従い、取りあえずは東側の門に向かう事にする。
戦闘に慣れる事が第一目的、出来ればお金と素材も稼ぎたい所だ。
しかし、ゲームはまだ始まったばかり。あせる必要は何処にも無い。
走るサクラを追いかけながら、フミは今後の予定を立てていく…
――――――――――――
「街の外、到着!さーて、ゆっくり行こう!」
「そうだな…お、こっちに歩いてくる先輩が居るぞ。話しかけてみるか」
こっち側に来る四人組。
片手剣と盾を持った男と、大きな斧を背負った女。
槍と大盾をもった男に、弓を持つ女の四人組だ。
相手もこっちに気付いたらしく、手を上げて呼んでくる。
「おーい!あんた等初心者かい!?」
「えぇ、ついさっき始めたばかりの新参者です。俺はフミ」
「私はサクラです」
「二人か…ちょっとしたアドバイスだけど、ここら辺の敵はまだアクティブモンスターじゃないから、自分から攻撃するまでは襲ってこない。だから、一匹一匹落ち着いて倒せよ」
「アドバイス有難う御座います。では、先輩方もがんばってください」
「もしまた会えたら、ゆっくりとお話しましょうね、それでは!」
今度はフミが歩き出し、サクラが追う。
四人組はそんな二人を見て言う。
「…あいつら、仲良いな」
「だねぇ…あんな丁寧な話し方する輩も最近は居ないよねぇ」
「ギルド建てたらさ、あいつら誘わない?」
「良いねぇ。まぁあの二人なら、なんとかなるでしょ!」
今後仲間に加える計画を立てつつ、街へと戻る。
そんなことを四人組が考えてるとは知らず、二人は道を歩く。
――――――――――――
地平線の向こうまで、地面から足首まで位の長さの草が生えている。
所々に色鮮やかな花が咲いており、魔物がポツポツと居る。
そんな草原に、二人は到着した。
「パーティー登録完了、武器もオッケー」
「魔法も使えるよ!いつでもバッチコイ!」
「なら、まずはあそこに居る…あれ、だな」
「うん、あれ…だね。国民的モンスターの」
澄んだ青い粘液の体に、赤い握り拳程の大きさの核が浮かんでいる。
ポヨンポヨンと跳ねながら移動するその魔物は…
ブルースライム Lv2
「まずは俺だけで行こう」
「ん。がんばってねフミちゃん!」
「分かってるさ。こうみえても、俺は元剣道部主将だ!」