17話 4日目の1
皆様、約八ヶ月ぶりとなります、お久しぶりです。
不定期投稿となりますが、再開しようと思いますので、よろしくお願いします。
久しぶりの投稿ですので、書き方が変かもしれません。
「さて、おじいさん、おばあさん。今日行く南側の情報を調べてきましたので、情報共有しましょう」
「何時の間にそんな事していたんだい?」
「昨日寝る前にチョチョイと!…これ位しか役に立てないので」
「いやいや、そんなこと無いよ?」
フミとサクラの2人にとって、4日目の朝。
もはやアインズ朝の恒例行事として、プレイヤーもNPCも多く集まって行われているラジオ体操を終え、街の南門の前に集まっている3人と1匹。
「えっと、それで情報って?」
「あ、はい!まず、敵モンスターですけど、多いのが『ゴブリン』ですね。肌が緑系の色をした1m位の大きさの人型モンスターで、武器は棍棒と木の盾が基本で、稀に銅のショートソードや鉄の手斧、木の弓を持った個体が居るらしいです」
「人型かぁ…」
『お父さんから聞いた事あります!なんでも、数が多くて面倒臭い相手で、あんまり美味しくないそうです!』
「食べる事は無いと思うわぁ。でも、人型のモンスターって倒しにくい敵よねぇ」
「実際、『倒すのを躊躇ってる間に剣で喉を刺されて逆に倒された』とかの話は多いらしいですね」
人型の敵を倒せるのか不安になる3人。
しかし、狼である月光にとっては、ただの倒す敵であるため、余りそんな事は感じないようだ。
「えっと、他には東にも居るスライム、コボルト…あと、強敵枠で『ホブゴブリン』が居るそうです。ゴブリンの纏め役的存在で、中学生男子位の大きさで、少し黒っぽい灰色の肌だそうです。皮の鎧や篭手、脛当を装備していて防御力が高く、鉄の剣を持って剣系のスキルを使ってくるらしいです」
「急にハードル高くなりすぎじゃないかねぇ?」
「まぁ、草原地帯には出ないで、森の中の洞窟や集落に近づくと出るそうですよ?ただ、それらに近づくとゴブリン10匹位を引き連れてやってきて、囲まれて袋叩きに遭うらしいです」
「…暫くは、草原でレベル上げをしましょうか」
『それが良いと思います!』
ホブゴブリンの話を聞いて、今後の方針について提案するサクラ。
反対の意見は、出てこなかった。
――――――――――――
「よっと!」
「おばあさん!」
「はい、『ファイヤアロー』!」
『ギュオォ…!』
縦に振られた棍棒を受け止めたフミが、両手で刀を押して棍棒を上に弾く。
紅の合図でサクラが放った炎の矢が大きく仰け反った敵の胸に突き刺さり、敵は断末魔を上げて倒れ、光の粒子となって砕けていく。
「おじいさん、おばあさん、お疲れ様です。どうですか?初のゴブリン戦は」
「うーん…人じゃないしそもそもゲームの世界だと分かっていても、やっぱどこか子供みたいな見た目だから、斬るのを躊躇ってしまうねぇ」
「まだ私は遠距離で戦ってるから…」
『ゴブリンとの戦闘は、慣れるまでは私が頑張りますか?』
「気遣いありがとうね、月光」
南の草原で、ゴブリンとの戦闘を行ったフミ達。
ゴブリンは基本2、3体で行動しているが、運良く1体だけ歩いていたので、『これはチャンス!』と思い戦ってみたのである。
3人と1匹の基本戦闘スタイルは、フミが前衛、月光と紅が遊撃、サクラが後衛であり、今回の戦闘も上手くいったようだ。
「あ、ドロップアイテム確認しましょう。ゴブリンはレアドロップは無いですけど、薬草だったり果物だったり色々持ってますからね」
「えぇっと…私のは『ゴブリンの牙』『粗末な木の盾』ね」
「私は『小さな棍棒』と『ナッシュ』だね」
『モンスターにはドロップアイテムは貰えないですので、私はありません!』
「『粗末な木の盾』と『毒草』ですねー。あ、おばあさん『毒草』要ります?」
「そうねぇ、『毒薬』を作れるから、貰おうかしら」
アイテムを交換し、更に少し相談するフミ一行。
相談の結果として、『ゴブリンは2体まで相手出来そう』という結論に達し、3体以上居た場合は迂回することに決める。
ゴブリンはプレイヤーに気付くと近づいてくる、所謂『アクティブモンスター』である為、迂回して離れるのが安全である。
因みに、コボルトやスライムは『ノンアクティブモンスター』である為、こちらが戦闘行動を取るまで相手は攻撃してこない。
相談し終えて、一行は行動を再開する。
――――――――――――
『誰か助けてくれ!!!』 『ヤバイヤバイヤバイ!!』 『と、とにかく森を出よう!』
そんな大声が聞こえたのは、フミ達が森に入らないよう気をつけながらゴブリン等と戦い始めて1時間後の事である。
それに最初に気付いたのは、子供とはいえウルフエンペラーである月光だった。
『おじいさん、あっちから声が聞こえます!こっちに近づいてますよ!』
「ん?…おや、本当だ」
「なんか、悲鳴っぽくありません?」
「あら…ゴブリンの群れにでも遭遇したのかしら?」
少し座って休憩していたフミ達ではあるが、この手のゲームの経験者である紅が、少し考えてある事に気付く。
「あぁ!おじいさん、おばあさん、ここをすぐに離れましょう!MPKされちゃいます!!」
「「 MPKって? 」」
「離れながら説明しますから、早く!」
まったく知らない単語が出てきて質問する二人を立たせ、声が近づいてくる方から離れつつ紅は説明をする。
「MPKと言うのは、アクティブモンスターを他のプレイヤーが居るところまで連れて来て、他のプレイヤーを追い越して逃げる事でモンスターを押し付ける行為です。当然、押し付けられたプレイヤーはそのモンスターと戦闘する事になります」
「でも、今回は意図的ではないっぽいけど…」
「意図的では無くても、押し付けられる事には変わりありません…それに、これの厄介なところは『意図的なのか意図的ではないのか判断しづらい』という点です。今回も、必死になって逃げている演技かもしれないです」
「随分警戒しているのねぇ」
「『ALICE ONLINE2』をやっていた時、巻き込まれましたからねぇ…あれは酷かったですよー、Lv10だった私と友達の所にLv20の人でも勝てないような強敵枠モンスターを押し付けて逃げていったLv5の人が居るんですよ。必死に逃げているっぽかったので助けようと思ったら、ダッシュで逃げて行って『引っかかってやんの、バーカ!!!』ですからね!」
「よくそんな所に行ったねぇその人…」
「まぁ、さっき説明したホブゴブリン的な敵でして、『ジャイアントビートル』っていう巨大カブトムシでした。『ビッグビートル』と『ビッグスタッグ』という敵が居るエリアで一番大きな木に近づくと出てくるんです。取り巻き自体はLv5でも頑張れば倒せるんですけど…」
そう言いながらも森から遠ざかる一行。しかし、後ろから聞こえる悲鳴はだんだんと近づいてくる。
『あぁ、ジャンが転んだ!』 『た、助けて…!』 『ど、どうするんだよ!?』
その言葉を聞いて、フミとサクラの足が止まる。
2人の目が合い、2人とも頷いて今まで逃げてきた道を走って戻っていく。
「おじいさん!?」
「すまないね、やっぱ放っておけないよ。月光は逃げても良いよ」
「紅さんも逃げて良いわよ~」
『私はおじいさんに付いて行きます!』
「…あぁもう!お2人が行くなら私も行きますよ!騙されたとしても死ぬまで付き合います!!」
一瞬逃げようか迷った紅だが、月光が2人を追いかけるのを見て、覚悟を決める。
振り返ると、逃げてきた集団と自分の丁度真ん中辺りの距離に2人は居た。
急いで行かなくては。そう思い紅は全速力で駆ける。
集団に襲い掛かってる敵の中に、灰色の肌の敵が居ない事を祈りながら。
誤字、脱字等ありましたら、感想等で教えてください。
出来る限り素早く修正します。