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11話  2日目の4

投稿間隔が2週間も開いてしまいました。本当に申し訳ありません…

「てめぇふざけてんのか!?あぁ!?」

「んなわけないでしょ!てかあんたの方が突っ掛かって来てるだけでしょ!?」

「やんのか!?」

「そっちこそ!」

「「 決闘デュエルだ!!! 」」


「えーっと、カードゲームの事かな?」

「それは違うかと…」

「にしても、武器屋に来たら喧嘩が起こるなんてねぇ…」

『人間の方はおじいさんやおばあさん、紅さんみたいな人だけでなく、こういう喧嘩っ早い人も居るんですね!また1つ賢くなれました!』

「えっと、うん、そうだね」


街へと戻った3人と1匹が何故、こんな状況に巻き込まれているのか。

それを説明するには、少し前まで話を戻す必要がある。



――――――――――――



月光がフミのテイムモンスターとなり、とりあえず疲れたから帰ることにした3人と1匹。

昨日のスープ&サンドウィッチセットの売り上げなどを使い、装備を整え、回復アイテムを補充し、夕食の準備をするために早めの帰還にしたのだ。


「ところで紅さん、武器屋って、何処にあるんだい?」

「西側に武器工房とかが固まってる場所がありますから、そっちに行った方が品揃えは良いと思いますよ?ドワーフの女の子がお店をやってるんです!なんでも工房長の娘さんだとか」

「そうなの?ちょっと楽しみねぇ」

『人が一杯居ますね、おじいさん!』

「えっと、普通の人にはワンワンとしか聞こえないからね、月光」

『はい!』


街の東側から入り、まっすぐ進み西側に。

金槌が金属を叩く音が辺りに響き渡る所に到着した一行は、早速紅の言っていた工房を探すことに。

そうして探していると、一軒の工房を発見。小さな女の子が店番をしているお店だ。

ピンク色の髪の少女に声をかける。


「すみません」

「いらっしゃいませ!テリス工房へようこそ!うちは武器専門だけど、どんな武器を?」

「私は刀、2人には杖と戦闘用のナイフを」

「刀、と言うことは足軽さん?武器を作るのには興味ある?」

「あるにはあるけど、仲間が居るのでね。二人の許可と時間さえあればやってみたいかな?」

「貴方、他の人と比べると態度良いからさ!武器とかの作り方、知りたいときはうちに来て!その時はお父さんにお願いしてあげるからさ!」

「うーん…サクラ、紅さん、今度良いかな?」

「明日でも良いわよ?私もポーションとか作ってみたのよねぇ」

「私も服とか作ってみたいです!」

「じゃあ明日でも来ようかな?良いかな?」

「良いよ良いよ!あ、私セーラ・テリス!宜しくね!」

「私はフミ、見た目は若いけど中身は年寄りだから、おじいさんで良いよ」

「あ、そうなの?じゃあおじいさん、話長くなっちゃったけど、刀と杖とナイフだっけ?お勧めはねぇ…」


早速店員のセーラと仲良くなれた一行。お勧めの武器などを教えてもらいつつ、自分にあった武器を選ぶ。

彼らはある程度の資金がある。紅はゲーム内で数日分素材を売って溜めていたお金が。フミ達には料理で稼いだお金がある。が、いきなり武器を強くして実力以上の場所に行っても死に戻りするだけだろうと考え、初期武器よりちょっと強い位の武器を選ぶ。


無銘:レア度1

Atk28:会心率5%

耐久力100/100

説明:作成者の名前のない刀。新人鍛冶師が練習で作った簡単な物と言われている。性能としては刀として最低ランクではあるが、他の武器と比べ会心率が高い。


赤の長杖:レア度1

Atk8:火魔法ダメージ3%上昇

耐久力100/100

説明:赤く塗られた長い杖。赤い色を目印に火の妖精が力を少しだけ貸してくれると言われている。一応武器としても使えるが、余り期待しないほうがいい。


ボウイナイフ:レア度1

Atk15:会心率2%

耐久力80/80

説明:決闘にも使われたことのある、無骨なナイフ。大振りで見栄えが良い為、レベルの高い人でも愛用している事の多い名品。少々会心率が高め。


「こんな所かな?セーラちゃん、会計頼むよ」

「はいはーい!えっと…1個1個が3500Gだよ!会計は別々?」

「私は別で、フミさん達は同じでお願いします」

「はい!じゃあ、えっと紅さんが3500G、おじいさんは7000Gね!」

「はい、これね」

「はい、まいどあり!また明日ねー!」


そう言って店を後にしようとするフミ達。明日の鍛冶仕事が楽しみだ、と思いながらも出口に向かう。店内にはまだ人が数名居て、それにぶつからない様に移動する。

が、流石に武器が大量に飾ってある店の中だ、多少ぶつかる事もある。サクラが1人の男性にぶつかってしまったのだ。


「あ、すみません」


ぶつかった事に素直に謝るサクラ。普通ならそれで終わるはずの場面だが…


「あぁん?あんた、そんな態度で済むと思ってんのか?」

「え、えぇっと…?」

「たったのLv4程度の雑魚がLv20越えの俺に向かってそんな態度で良いのかって聞いてるんだよ!」

「うーん、Lv20ってそんな凄いのかい?」

「そんなのも分からねぇのかよ、これだから雑魚は…」


槍と大きな盾、金属の鎧を纏ったいかにも重戦士だと言いたげな装備の男が声を荒げる。フミとサクラの老夫婦は『最近の若者はこうも怒りっぽいのかな?ストレス発散できているのかな?』と心配になり、紅は『うわ、面倒なのと当たっちゃったよ…』と考えていた。

その時…


「あのー、お客様、店内では静かにしてください」

「あぁ!?NPCは黙ってろ!!」

「…人が大人しくしてれば貴方達プレイヤー勢は人のことをNPC風情とか言って!私達だってこの世界で生きている1人の人間なのよ!!」

「たかがプログラム如きが五月蝿いんだよ!」

「そのプログラムが居なかったらこの世界は成り立っていないのよ!」


こんな事があって冒頭に至る…



――――――――――――



「なるほど、つまりあのバカのマナーが悪いのが原因でこうなっているのか」

「そういう事なんです。最近ネットマナーとかがよく取り上げられますけど、実際にこういった形で見るとはねぇ…」


他のプレイヤーに事情説明をしているフミ達3人組。武器を買いに来た他のプレイヤーが騒ぎを聞いて寄ってきたのだ。決闘について教えてもらったところ、プレイヤー間の厄介事を片付ける方法として普通に使われているが、NPCとプレイヤーが戦闘するのは恐らくこのゲームで初の事例だとか。


「どっちが勝つと思います?」

「ドワーフの女の子。あの超可愛いけどかなり強いんですよ。両手斧で敵をなぎ払いながら素材集めしてるの良く見ますから。あと、Lv30越えらしいですよ」

「へぇ、凄いんですねぇ」

「お、始まるみたいだな」


決闘用フィールドという、50m四方のフィールドに転送された2人が、決闘生放送と言う公式サイト上の動画プレイヤーに映される。カウントダウンが始まっていた。






Fight!!!


「死ねや!『乱れ突き』!!!」


男の手にしていた槍が白く輝き、秒間5回位の速さで突き出される。肩や首、足などを狙うその高速の突きは、槍系武器のスキルなのだろう。

それをセーラは軽々と、とまではいかないがある程度余裕を持って回避しながら距離を詰める。その両手には彼女の体と同じくらいの大きさはある巨大な斧がしっかりと握られており、男を容易に真っ二つに出来そうだ。


「ちぃっ!『シールドチャージ』!」


男の体を隠せるほどの大きな盾がうっすらと光り、そのまま突進する。恐らく攻撃を弾きながら体当たり出来るスキルだと思われる、が…


「『へヴィースマッシュ』!!!」


セーラの斧が青白く光り、その斧を思いっきり盾に向かって振り下ろす。

爆音と共に盾ごと男が地面に叩きつけられる。HPバーは7割以上削れている。


「もういっちょ、『へヴィースイング』!」


ゴルフの球の様に吹っ飛ばされた男。フィールド中央から端まで20m以上放物線を描き飛んで、地面にグシャッと音をたてて落下。HPバーが空になり、男のキャラクターが光の粒となって砕け散った。


You Win!!


某格闘ゲームの様な音声と共に、セーラの勝利が決まった。



後日、『NPCの店員に正論を言われてブチ切れて決闘申し込んだけどボッコボコにされた残念野郎』としてスレに名前を挙げられた男は、セカンドキャラクターを作れるようになるまで…ファーストキャラクターを作ってから現実で一週間経過するまでの間、NPCどころか生産職のプレイヤーからもアイテムを売ってもらえず、街中で『残念野郎』とバカにされる日々を過ごす事になるが、それはまた別の話。

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