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第六章 「哲の家族。」


「俺は雪を愛している。」

そういいながら哲は私を抱きしめた。

私はその時、心から笑えた気がした。


するとドンッと思い切り壁を殴った音が聞こえ、音の方向に振り向く。

するとそこにはとても怒り狂っていた天音がいた。

私は自分のしたことにゾッとした。

自分はなんてことをしたのだろう…と。


「お前…雪から離れろ!!いますぐ!」

天音は哲を睨み、叫んだ。

それとは裏腹に哲は笑顔だった。


「ごめんな天音。雪は俺がもらうよ。」

そう言って哲は私を抱きかかえ割れた窓からヘリに垂れ下がっているはしごに飛び乗る。


「っ!雪は…渡さない!」

そういった天音は何処からかナイフを取り出しはしごに向けて投げる。

すると、はしごを貫きブチッと切れる。


私と哲ははしごごと下に落ちていく。

私は怖くて目を閉じた。


「マジでやりやがった…怖いなー。」

哲は私の頭をすくい、腰に手を当て私を守る体制に入る。そしてストンッと着地する。


私は目を開けると目の前には相変わらず笑顔な哲がいた。

あんな、死んでもおかしくない状況なのに笑顔でいられるなんて…余裕なのだろうか。


「哲…」

「大丈夫だった?怪我ない?」

「大丈夫だょ?っ!」

「どうした!?怪我してるのか?」

哲は私を近くのベンチに座らせる。

そして哲は私の足を持ち怪我がないかジッと見ている。

「ちょっ!大丈夫だって!!」

「いゃ、怪我してる。血が…」

哲は自分のズボンのポケットに手を入れハンカチを出した。

そして私の足から出ている血を拭き取り考える。


「俺がガラス割った時か。」

「えっ?」

「この傷を見れば分かる。これは切り傷だ。ナイフがかすることはまずありえない。

ということは俺があの時割ったときにガラスの破片が君の綺麗な足を襲ったんだ。」

哲は下を向きごめんと謝っていた。私は哲の頭を撫で答える。


「そんなに哲が傷つくことないよ。だってあの時もっと早く後ろに下がらなかったのは私だから。」

「でも!」

「大丈夫だって」

私は笑いながら答える。すると哲は、

「ごめん。あと…ありがとう」

そういって哲は笑顔になった。私は哲が笑顔で居てくれる事が何よりも嬉しい。


「ごめん。すぐ天音が来るかもしれない。だから足の消毒はもう少し待ってくれ。

痕が残ったら…本当にごめん。」

「うん。大丈夫だから。」

そう言うと哲は私をもう一度抱きかかえ、いきなり叫んだ。


「咲!!もう一回はしごを下ろせさっきより短くていい!」

哲がそう叫ぶと近くにいたヘリからはしごが下りてきた。

すると哲はベンチに立ち思い切りジャンプをした。

そしてはしごに掴む。

「よし!引き上げろ!」

そして私たちはヘリの中へと移動した。


「大丈夫か?哲」

「おぅ、それよりも救急箱はあるか?」

「哲の近くにあるはずだ。」

哲は近くにあった救急箱を手に取りその中から消毒液とガーゼ、絆創膏を出した。

そして手際よく私の足を消毒した。少々痛かったが我慢した。

哲は最後私の怪我の部分に絆創膏を貼りオッケーと言って私の頭を撫でた。


「ありがとう。」

「いいよ。俺のせいだし…」

「それよりも…天音は?」

私はヘリの窓から下を見下ろすとそこはさっきとは違う風景だった。

私の家からかけ離れたところにもう行っていた。


「ここ…は?」

「俺の家にこれから向かう。そこでたっぷり話をしよう。」

そういって哲は寝転がる。


「哲、目の前に女性が居るのに下品だとは思わないのか。」

「んー…それにしてもさっきの天音、まじ怖かったわぁー」

哲は寝転がりながらヘリの運転手と話していた。


「本当だな。ナイフをあそこまでうまく使えるとは…あいつ何奴だ?」

「さぁー。本当に暗殺者みたいな感じするわぁ。」

暗殺者…。

人を殺す職業かなにかか…。

天音はそんな人なのかな…。


でも、あの時とてつもなく恐ろしい目をしていた。

とても怒っていた…私は天音を裏切った。

私は…。


「雪、着いたぞ!」

いつの間にかヘリは地上に降りていた。

「おいで、雪」

哲はヘリから降りて私に手を差し伸べる。

私はこの手を取ってしまえば、本当に裏切るという事になる。


でも、これ以上…自分の気持ちに嘘はつけない。

そう思い私は哲の手を取った。


私は地上に降りて前を見ると、大きい豪邸のような家が建っていた。

「ここが…哲の家?」

「そうだよ?」

哲って…もしかして私の家より金持ち?


「こいつを紹介するよ。こいつは日比野 咲だ。」

哲は運転手の人を紹介した。

私は運転手の顔を見る。

私は驚きの余り目を見開いた。


「哲が…ふた…り?」

そう。運転手の咲は哲にそっくりだったのだ。


「俺と咲は一卵性の双子でーす」

哲は私をびっくりさせようとしたのか笑顔が意味深だった。


「哲は話してなかったのか、すまんな驚かせて。日比野 咲だ…よろしく」

なんか…性格が真逆に見えるのは気のせいだろうか。

哲は明るいけど、咲は静かで…クールと言えばいいのかな。


「雪、事情を説明しよう。早く中に行こう」

そういって哲は私の腕を引っ張った。




「わぁー…」

哲の家に入るととても高価な家具、上にはシャンデリア。

なんか…輝いている…。


「どうした?そんな物珍しい顔して。」

「だって…すごいもん。豪華すぎる…」

「雪の家と変わんないよ」

哲は冗談っぽく笑う。


それにしても哲はすごいと思うな。

強いし格好いい。それにお金持ちだったなんて…モテないわけないよね…。


「あらぁー哲ぃー久しぶりぃ。お客様ぁ?あらぁお出迎えしなきゃー。」

階段から下りてくるとても綺麗な女の人が口に手をあてながら笑っている。

綺麗なドレスを着こなしている。金髪で長髪なお人形みたいな顔をしている女の人だ。


「いや、別に出迎えなんていらないよ。これから大事な話するからお茶かなんか持ってきてくれると嬉しいよ。」

「わかったわぁ、じゃあリビングにいてくださぃ。」

「わかったわかった。」

そしてお姉さんらしき人は去っていった。


「ごめん。驚かせたな」

「あの人とても綺麗だね、お姉さん?」

私はあの女の人の去っていった場所に目を向ける。


「あー、姉に見えた?」

「えっ?」

哲は苦笑いし、頭を?く。

そして何か言おうとしたとき、近くにいた咲が先に口を開ける。


「あの人は、僕たちの母です。まぁ、実質お若いので姉と見えるのは無理はないかと。」

は、母!?あの人が!!

「お母様だったの…本当に、綺麗なお方で…。」

「まぁ、母さんは19歳の時に俺たちを産んだからな。」

「19!?ではまだ30代なのね。本当にお若い…」


哲の家族は本当に驚かされるわ。

本当びっくりよ。


「お兄様!」

「んっ?なんだ椿か。どうした?」

私たちのところにツインテールで茶髪の女の子が哲に勢いよく抱きついた。

「お兄様がいなくて寂しかったのよ!全然帰ってこないから。」

「ごめんごめん。」

哲は妹さん?を撫でると妹さんはとてもかわいらしい笑顔みせる。


「妹さんかわいいね。何歳なの?」

「あ、いゃ、こいつは…」

「そうでしょう?私可愛いでしょう?私は小学4年生よ。」

小4という事は10歳くらいかしら?

それにしてもこの子は…自意識過剰?いゃ、実際もってかわいいから違うのか?


「うん、かわいいね。」

「そうでしょうそうでしょう。私のこの見た目!アイドルにでもなれるわぁ!」

妹さんはとても笑い、自慢をする。

何かがおかしい気がするが…うーん。何だろう…。


「椿!いい加減にしないか!」

「な、なにさ!別にいいじゃん。勘違いするほうが悪いんだ。」

「そりゃあ勘違いするだろ。そんな格好じゃ。」

私は何を喋っているか意味がわからず首を傾げる。

すると哲は再び苦笑いしながら話し始める。


「ごめん。こいつ男だから。」


…ん?

男??この子が!?

「お、男の子だったんだ…。」

「ごめんな。こんな奴で…」

「こんな奴ってなんだ!皆が俺を女みたいだ、女みたいだぁ!って言ってくるから

じゃあ女装して綺麗になって見返してやるって…。」


椿くんは目に涙が溜まり、今にでも泣きそうだった。

私は、椿くんと同じ目線になり、手をとり話しかける。


「椿君は、そんな無理しなくていいんじゃない?女みたいだって言ってくるなら言わせておけばいいのよ。

そんな気にすることないわ。そんな格好じゃなくて、普通の…いつもの椿くんで私はいて欲しいな。

世の中には女の子みたいに顔が整っている男の子だっているわ。でも、それでいいんじゃない?

かわいくたって、君はれっきとした男の子なんだから。逆に私は椿君が羨ましいくらいだわ。とても綺麗だもの。お母様にそっくりね…」


私は椿くんの頭を撫でる。

すると椿くんは私を抱きしめる。

そして…

「そんなこと言ってくれたのはお姉ちゃんが初めてだよ。ありがとう、俺めっちゃ嬉しいよ!」

そういって笑顔になる。

椿くんは私を強く抱きしめる。

そんな椿くんがとても可愛らしくて、私も抱きしめる。


少し時間がたち椿くんが元気になると私にくっついてそれから離れない。

すると哲は睨むような目で椿くんを見る。


「おぃ!椿ぃー!!なに雪にくっついてんだよ、離れろ!」

「嫌だよ。俺はお姉ちゃんが好きになった。もぉ、お姉ちゃんは俺のだぁ!」

なぜか兄弟同士ケンカし始める人たち。

遠くで咲が呆れてため息をついていた。


そして私は思うのだった。

本当に変わった人たちばかりだな…と。



そして、咲が2人のケンカを止め、何とか収まった。

そして哲は私の手を引っ張り、私をリビングへと連れて行く。


「よし!本題に入りましょうか。」


哲の顔は真剣じゃなく、とても…拗ねていた。

敬語で喋る時点で拗ねている事がわかる。


それから数分後、私たちは本題に入るのであった。



・・・to be continued

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