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第三章 「天音との関係」

「天音との関係…」

哲が知りたがっていた事…。

私は言おうか言わないか悩んでいた


「雪と天音ってそうえば苗字同じだよね」

それはまぁ言われると思っていた。私は哲をじっと見つめた。

すると哲はプイっと私から目線をそらし下を向いた。

そして哲は自分の手で自分の顔を隠す

哲の耳を見ると赤くなっている事がわかった、照れ隠し…?と思い哲の頭を撫でる。


「なにそれ…反則。」

そう言った哲は私の方を見る。頬を赤く染めてこっちを見るので熱が私にも伝わり

顔を赤らめる。私は動揺してどうすればいいのか思いつかずポロっと口から天音の関係を言ってしまった。


「私と天音は…親戚なの」

まず私は心を落ち着かせるために深呼吸をする。

頬からの熱も引き、顔の赤さも除々になくなっていく。

私のその言葉を聞いた哲も顔の赤さが引いていき再び真剣な顔に戻る。

そして私をじっと見つめた。

「天音は、雪のこと手に入れるとかなんとか言ってたじゃん。」

哲は少し疑問に思ったのか顔をしかめる。そして予想していた質問をされた。


「親戚同士って結婚できるのか?」

「…私たち家族は親戚同士結婚する事は許されない。」

「なら…」

「でも!!」

私は哲の言葉を消し去るくらい大きな声で叫ぶ、

哲は一瞬驚いたが私からの答えを待っている。


「天音の家族は、風林寺家の中で、位が高いの、天音は一人っ子で兄も姉も妹も、弟もいなくて父と母しかいなかった。

欲しい物はねだれば手に入った。わがままを言えば必ず買ってくれる。だから親は息子のしつけなんてしなかった。

天音を甘えて育ててしまった。天音の親は親バカなの。」


それから私は続けて話していった。それを真剣な顔で聞いてくれる哲がいた。

・・・ 天音は寂しさを紛らわすためにあれもこれも買ってとダダをこねた。もちろんその要求を親は得た。

でも、一つだけ、天音の親は叶えてくれないことがあった。



「一緒に出かけよう、一緒に遊ぼう!」

天音がそう言うと、親代わりに新しいぬいぐるみや人形、おもちゃを買って誤魔化そうとした。

だから結局天音は一人だった。


そして、天音があまりに同じお願いを親に要求すると、親は混乱して最終的には親戚の私たちに頼んだ。


「どうか一緒に遊んであげて」…と。


私はその時初めて会った天音に優しくした。

独りぼっちで寂しい子…。


天音の家で雇っているメイドやお手伝いさんが、影でコソコソ言っていた。

子供だから聞こえないと思ったのだろうか。天音の耳にはちゃんと聞こえているのに。

天音が今すぐにでも泣きそうになった。だから私は…


「大丈夫。一人じゃない。私が傍にいてあげるよ」そう言った。


・・・

「でも、それとこれとでどう結婚可能と関係があるのさ?」

「あなたはちゃんと話を聞いていたのかしら。実は耳から聞きながしたとか…」

「なわけないだろ!ちゃんと聞いていたさ、でもよくわかんないから」

哲は首を傾げるので私は適当な口調で言う。


「だからぁ、天音はその頃から私につきまとうようになって結婚してくれ、俺のものになってなどと何回も言われたわ。

親戚同士で結婚は無理よ、と言うと天音は親に親戚でも結婚できるように頼むと親は許可させて、親戚でも結婚できるようになってしまったのよ…。」

「じゃあ雪は天音と…結婚」

「するわけないでしょ!?私だって…好きな人と結婚したいわ。」

私が怒鳴ると哲は唖然として、私の目を見ると…哲は悲しい目をした。


「そうだよな。ごめん。」

そう言うといつものように私の頭を撫でる。なぜそんな悲しい顔するのかしら…。

「ちょっと兄に会ってくるわ、お願いすることがあるから。」

そう言って私は哲の元から離れようとすると、哲が私の腕をつかんで引っ張ってきた。


「ちょっ!!」

私が哲の胸に受け止められたようにもたれかかる。

そして哲は私の身体を支えるように腰に腕をまわす。

そして、小さな声で呟いた。


「俺とお前が平等の位なら…俺はお前を…」

哲の言葉は私に届かず何を言っているのかわからなかった。

「え?」

私が聞き返すと哲はバッと私から離れる。そして自室の扉がゆっくりと開いた。


「貴様…妹に何をしているのだ…」

とても黒いオーラで話す兄。怒っている…。


「あ、真じゃん。元気にしてたー?」

哲は兄に笑顔をむけると兄は剣を哲に向けて走ってくる。


「妹から、離れぬかぁー!」

兄が哲を剣で突こうとする。が、哲は私を抱き上げ空中に飛ぶ。

「ひゃっほぉー!」

「ちょっ!!!」

私は驚きのあまり目を瞑る。

自分ではどうすればいいかわからず哲の腕の中で縮こまっていた。


「雪、大丈夫だから。心配せずとも俺は全力で君を守るから。」

と、哲は私を抱え部屋から出ると、猛ダッシュで兄から逃げる。

私は兄に言わなければいけないことを思い出し、哲に抱えられている状態で兄に向かって叫ぶ。


「お兄様ー!!今日天音に会ったのー。あの子をどうにかしてくださいー!」

私は兄に伝わるように叫ぶと、兄の顔はほころび足から崩れ落ちた。



「雪ー腹減った。夕飯食べようー。」

そういうと哲はリビングに向かう。もちろん私を抱えて…。

リビングに着くと既に夕食の準備がされていたので私は時計を見た。

時計の長い針はもう「7」をさしていた。


「降ろして頂戴。」

私が少し震えた声で言うと、哲は心配して私の顔を覗き込む。

「大丈夫?怖かった??」

当たり前よ。いきなり剣で攻撃する人もいれば、それを飛んで避ける人もいるわ。

どんな人たちよ…もう。私の家の中は平和じゃないわね…。


「いいわ、食べましょう。」

哲は私を降ろし、椅子に座る。私は手を洗いに洗面所に向かった。

洗面所の鏡を見る。すると、頭の中で声がした。


『必ず君は僕の手に…』

この声は…


私は寒気がして早く手を洗い洗面所を後にする。

何処からか恐怖を感じて早くリビングに向かった。


「雪ぃー。助けてー…」

私はリビングに着くと同時に哲が助けを求める。

哲は兄と剣を交わしていた。

「何やっているの?」

「夕飯食べたいのに…真が邪魔するぅー。」

「貴様が妹にしたことは重罪だ。と言う事で…切る!」

何をして…本当見ていると馬鹿馬鹿しく思えるわ。


「ちょっと待ちなさい。」

「雪ぃー」

「どうした、妹。」

2人とも同時に私を見る。

私は少し怒りながらそれでも笑顔で喋る。


「そんなことするなら他所でやってくださるかしら?リビングを汚さないでくださる?

正直いって邪魔なんですけれど。」


兄はニヤっと笑い哲の襟を掴みリビングから消える。

哲は私に裏切り者ぉーと何回も言っていた。


「これでゆっくり食事が食べられるわ。」

自分の椅子に座り食べようとする。


「…。」

私は手を食べようとした手を止め、周りを見る。

―――誰もいない―――

いきなり寂しさが込み上げてきた。そして食欲がなくなる。


私が2人を追い出したのだが、2人がいなくなるだけでこんなに静か…なんて。


これが天音の味わっていた気持ち…辛いな。

部屋や家が広いほど、寂しさを感じる。

心にぽっかり穴が開いたように…


私は自室に戻ってベッドの上で身体を縮める。

寂しいな…誰か傍にいてくれたら。


そう思っていると、ふとバタンッとドアが開き顔に怪我を負った哲がいた

私は哲を見ると哲は私の元に飛び込んできた。そして強く抱きしめ耳元で囁く。

「ここにいたのか…」と哲は少し震えた声で喋る。

「どうしたのですか?」私は背中をさすって哲を落ち着かせた。

「リビングに居たのかと思ってたのに行ったらいなかったから焦った。いなくなったのかと…」

哲はまだ少し震えている。


「ごめん…なさい。」

私は哲がそんなに心配してたなんて知らずにいたから…どうしても謝る事しかできなかった。

哲の震えが止まると哲が腕の中から私を解放した。

そして私の顔をじっとみる。


「大丈夫か?」

そういって私のまぶたに溜まっていた涙を拭う。

「大丈夫…。」

これ以上哲に心配はかけさせないように嘘をついた。

私は下を向いて目を瞑る。まだ涙は溢れてきて手にたれてきた…。

口ではごまかせる事ができても涙は嘘はつかない。


哲は私の頭をゆっくりと撫でた。

「嘘つきだな」

そういって哲は私をベッドに寝転がせて上に布団をかける。そしてポンポンと優しく叩く。


「何するの!?」

「寝ろ。おやすみ」

哲はまた私の涙を拭う、何度も何度も。

「寝たらいなくなるんでしょ」

「なに、寂しいのか?」と哲は笑いながら頭を撫でる。


「ちがっ…そんなこと…。」

「冗談冗談。大丈夫、ずっと傍にいるよ」

哲はずっと笑う。私のために…?

ずっと哲は私の頭を撫で続ける。

私は除々に眠気に襲われ、いつの間にか眠っていた。


部屋に私しか居なくて寂しく思えた。

昔は一人でも寂しいなんて…たぶん思わなかった。

中学の時も…その前の病気のときも…私はずっと一人、窓から空を見上げていた。

でも、哲が戻ってきてから変わった。ずっと傍にいてくれる人が帰ってきて嬉しかった。

また…傍にいてくれると。


「哲…」

雪が寝言を言う。寝顔も寝息も寝言も可愛らしい。

俺は雪の頭を撫でる。


「ずっと傍にいるから…」

俺は雪の頭を撫でた。



・・・to be continued

少し更新するのが遅くなりました。

申し訳ありません。


読んでくださってありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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