第二章 「入学初日」
今日から私は高校生。
私は緊張で胸がドキドキです。
「雪!クラス発表の紙見よう!!」
哲は私の手を掴んでクラス発表の紙を見に行く。
クラス発表の紙を見て私は自分がどのクラスか知るために必死に探した。
あ…あった!
『風林寺 雪』
名前を見つけると私は何組かを見る。
2組
2組かぁ…そうえば哲は何組なんだろう。
私は隣に居る哲を見る。
すると、
「雪ー!一緒のクラスだ!」
「ふぇ?」
「見てみ?」
私はまたまたクラス発表の紙を見る。
自分の名前の前に、
『日比野 哲』
そうえば私と哲の名前の頭文字って…
『ふ』と『ひ』なんだ…。
1つしか変わらない。
「やったぁー!」
哲はニコニコしながら私の両手を掴み、喜んでいる。
とても、哲の顔はにやけてるわ…。
なんか…昔の哲みたいに。
子供っぽい反応をするのね…。
それを見る私の身にもなって頂戴。
逆に私が恥ずかしいわ。
でも、哲は嬉しさのあまり力加減を忘れてるみたい。
とても痛いわ…。
「痛い…」
さすがに痛く、言葉に出てしまった。
私がとても辛い顔してたことに気づいたみたいで
バッと手を離してくれる。
「ご、ごめん…」
哲の顔はさっきとは別人だ。
私を傷つけたと思って、下を向いて落ち込んでいる。
そこまでキツく言ったつもりはないのですけど…
「私は…」
「え?」
私はどうも哲の暗い顔は見たいくないのでなにか哲が嬉しいと思うことを言う。
「私は、哲と同じクラスで…う、嬉しいわ」
私は恥ずかしながらも、哲に笑いかける。
私は頑張りました!
「!…うん!!」
哲はすぐ笑顔になって喜んでいる。
そのあと私たちはクラスを一通り見たので、入学式に行く。
校長先生の話は長く、どんどん睡魔に襲われる。
寝そうになった時、丁度校長先生の話が終わる。
次は1年生代表のスピーチかな?
私はスピーチする人の名前を聞いた瞬間ハッとする。
『風林寺 天音』
あ、天音…、まさか同じ学校に…。
「天音…」
私は前に立っている天音を見る。
隣に居る哲が私に問いかける。
「知ってるの?」
「あの人は…」
私が話そうとした時、マイクが入る。
そして…
「僕は風林寺 天音、雪…やっと見つけたよ。」
天音…相変わらず変わってない。
「え?」
哲の頭には疑問が生じたようだ。
仕方ないかな…哲と会っていない分変わってしまったから。
「君は僕のものだ。」
他にも生徒がいると言うのになんと言う発言をしているのだろうか。
恥と言うものを知らないのだろうか。
周りからは歓声が聞こえる。
「キャー」や「わー」などと…
なぜ天音はそんなに周りに危害を加えようとするのだろうか。
昔から…そうだった。
彼はそう叫ぶと、台から下りて私の方に走ってくる。そうして私を両手を掴む。
「雪、今度こそ僕ものに…」
天音が私を抱き寄せようとする。
すると、
「早く自分の席に座れ、邪魔だ。」
私の前に立ったのは哲だった。
哲は天音を睨み、怒った口調で喋る。
「お前こそ邪魔だ。雪を僕に…」
天音が言おうとするとその言葉をシャットアウトするかのように哲が大声を出す。
「黙れ!お前が誰かは知らないがここは学校だ。お前は周りの人たちに迷惑をかけるのか?」
「はっ?僕には雪がいればどうでもいいんだよ」
天音は笑いながら哲と向かい合っている。
私は、さすがにこれはいけないと思い、行動に出す。
「帰って。」
「…え?」
天音は哲から私の方を見る。
なぜか冷や汗をかいているようだ。
「学校に通う気がないなら、帰ってください。」
私は天音を睨む。
私は普通の生活がしたい。でもこんな状況では絶対に無理。
天音がいる以上、そんなこと望む事すら…無謀だ。
「っ…。わかった。…帰るよ」
天音は私から目を背けると、トボトボ出口に向かう。
それから、先生方がなんとか生徒を落ち着かせてくださって
普通に入学式の続きができた。
無事終わると、私は哲と一緒に1年2組の教室に行く。
それから数分がたつと担任が入ってきて、自己紹介をするようにと…
出席番号の早い順からどんどんと自己紹介をしていく。
哲から学校に着く前にアドバイスをもらった。
・・・
「普通の生活をしたいならお嬢様の口調はやめなよ?普通の口調でいいから。
もしそれがきついって言うなら、敬語で大丈夫だと思うよ。」
・・・
そのアドバイスを参考に
私は自分がどんな自己紹介をするか決めていた。
次は哲だ。
「日比野 哲です。この頃この町に来ました。
もし、良い場所とかあったら、案内してくれたり紹介してくれると嬉しいです。
一年間よろしくお願いします。」
慣れてるよ!この人…。
周りの反応をうかがうと女子の顔が赤く染まっていた。
そうえば…哲ってモテるのでしょうか…。
次は私の番だ。
緊張はしているが、なんとかちゃんと言えるように深呼吸をする。
大丈夫。できる…。
「雪ならできるから。」
哲がボソっと言ってくれる。それがなによりもの救いだ。
よし!
「風林寺 雪です。よろしくお願いします。」
一応自己紹介はした…緊張した。
「笑顔」
哲がまたもやボソっと言う。
私がニコっとお嬢様スマイルをする←
そうすると周りの人たちは顔を赤く染める。
私が座ろうとすると、
「よろしく!」
一人の男子が急に立ち上がり、私に言う。
「ありがとう。」
私は笑顔を絶やさず彼に振舞うと彼も笑う。
「雪、よかったな。」
「うん。」
哲は私に言った。
終わった後に始まる前も哲は私を助けてくれる。
ありがたくて、とても嬉しい。
心が温かくなる。
一通り今日の学校生活が全て終わる。
放課後になって、私が帰る支度をしていると、
「ねぇ、風林寺さん、今日…帰りにどっかいかない?」
この人は…私が自己紹介した後に話しかけてくれた人だ。
えっと…名前は…。
「秋田さん。ごめん、雪は忙しいからさ」
ふいに哲は後ろから私の肩に手を置き私の頭の上に顔を乗せてこの人に言う。
「日比野くんか…僕は彼女に言ったつもりなんだけど。
君が答えるのはちょっと不愉快かな」
秋田さんは笑顔でいっているが、どう見ても裏のオーラから
『邪魔なんだけど、僕が話したいのは君じゃないですけど。』
みたいなオーラを発しているように思える。
オーラというか…顔でわかるかな。
「風林寺さんは忙しいの?」
秋田さんは私に顔を近づけて聞いてくる。
「へ?あ…あの…」
近い、とっても近いわ。
私が困っていると、哲が私の肩を引っ張る。
「近いから。」
そう言って彼を睨んだ。
哲って…思うけど、男の子の敵が多そうね。
すぐ人を睨む癖があるのかしら。
「で、風林寺さん!」
「ふぇ!?」
秋田さんは私の手首を掴んで引っ張る。
なんか、どんどん苛々してきているのかしら…
除々に秋田さんの顔から笑顔が消えていく。
「あの…私は特に御用事はありませんが…」
「口調」
哲が私の耳元で囁く。そうだ、ここはまだ学校。
家とは…違うのです。まだ完全に区別をできてませんわ。
気をつけないといけないですね。
こういうことを注意してくださるのも正直助かる。
本当に哲はいい人と言っていいほどいい人だ。
「えっと…忙しくはないんだ…けど?
遊びに行くのは…ちょ、ちょっと無理…かし、無理かな?」
本当に難しい。
敬語じゃない場合、どれをどういえばいいのかしら。
本当に、精神を使うわ…。
それにしても…私でもこれはひどいと思うわ。
「無理なら…仕方ないかな」
秋田さんが諦めてくれたので、一応謝ろうとすると、
「なんて、言うと思った?」
「へ?ひ、ひゃう!!」
秋田さんがいきなり私をお姫様抱っこした。
抱っこすると走り出す。
「ちょ、雪!!」
哲は私たちを追いかける。
だけど、秋田さんが人ごみを利用して、
哲から私を遠ざけようとした。
私はこんな状況どうしようもできないのでおとなしくしていた。
さすがにドタバタ暴れるのは…私はできません。
私が哲が追いかけた方向を見ていると誰も追ってこない。
哲は私たちを見失ったのかな…。
「ふぅー、風林寺さん、じゃあ遊びに行こうか」
秋田さんは私に顔を近づけて誘う。
さっきから降ろしてくれない…
もぉ、降ろしてくれていいと思ったんだけど。
なぜ降ろしてくれないのでしょう…
「あの…降ろして下さい。」
「ヤダ」
えぇ…即答。
こんな町のなかお姫様抱っこ…とても周りの目線が痛いわ。
それに…とても恥ずかしいわ。
「…」
私がどうすればいいか悩んでいた。
考え続けていると、いきなり秋田さんは走り出す。
「な、なに!?」
「ごめん、ちょい我慢してーな」
…いきなり秋田さんの口調が変化したわ…。
どういうことなのかしら。
それよりも、なぜ秋田さんは走っているの?
私は後ろを見ると
「雪ぃー!!」
後ろから追いかけてきたのは哲だ。
哲は…そうえばボディーガード。
私が自分の身を大事にしないから、哲には苦労させてるのね。
迷惑…かけてる…よね。
「哲…」
私がボソっとつぶやくといきなり秋田さんが止まる。
そして秋田さんは私に目線を向けてきた。
とても汗をかいているのがわかる。
「僕じゃ…ダメなんか?」
「え?」
秋田さんが寂しそうな目で私を見つめる。
「無理矢理でも風林寺さんを奪いたいねん」
…なぜ?
私は意味がわからず首を傾げる。
「だから!僕は風林寺さんに一目惚れしたっちゅーねん!」
秋田さん…
「嘘。」
「え?」
「まだ、入学初日…なんでそんな気持ちがすぐうまれるのかしら。
私はあなたの思考回路が意味不明と言っていいわ」
一目惚れ…
そんなの薄い恋愛感情よ。
私にとってそんなものいらないわ。邪魔でしかないわ…。
「僕は…」
「一目惚れってことは、どうせ顔なんでしょ?」
「え?」
別に自分の顔に自信があるわけじゃない。
自分のことなんて、可愛いとも綺麗とも思ったことはない。
でも、入学初日で一目惚れなんて…顔で選んだとしか思えないわ。
「もぉ、いいでしょ。おろしてください。」
「違うねん。君は僕に笑顔を向けてくれた。君の優しい笑顔が好きやねん」
笑顔なんて…顔にすぎないわ。
なにを言ってるのかしら…。
顔で選ぶ人なんて…。
あ…秋田さんの左耳にクリスタル型のピアスがついていることに気づく。
あれは…もしかして。
「おろしてください!」
「ヤダ…」
私が泣きそうになった瞬間
遠くから足音が聞こえる。
そして…
「降ろせって言ってんだから降ろせよボケー!」
哲の蹴りが秋田さんの横腹に直撃して私の身体が宙に浮かぶ。
私は落ちると思い、ふいに目を閉じた。
痛くない?
私は目を開けると私を抱っこしている哲の顔が目の前にある。
「おかえり、お姫様。」
哲は汗を流しているが相変わらず笑顔を絶やさない。
私は哲の汗を手で拭いてあげる。
「やめっ!汚いから。」
「汗は頑張ってくれた証拠。ありがとう…。」
私は哲に笑顔を向ける。
「こちらこそ…ありがとう。」
私は互いに笑顔でい続けて家に帰ろうとしたが、
家に帰るまでは抱っこのままで降ろしてはくれなかった。
・・・・
「それにしても入学初日から大変だったな。」
哲はため息をつきながら椅子に座った。
「あの秋田って人…手先かな。」
「え?」
私はよく頭の中で整理をした。
あの人は右耳にクリスタル型のピアスをつけていた。透明な…
秋田さんがさっきしていたクリスタル型の黒いピアス。暗闇のような…
右耳につける透明なピアスは…王族の証。
そして左耳につける暗闇のような黒いピアスは…白への服従の証。
その話を哲に話すと、
「あぁ…あの人っていうのは天音だな。」
「そう。」
手先を使うなんて…
天音…あなたの目的はいったいなんなの?
あなたは何がしたいって言うの?
「天音…なに考えてるの?」
私は天上を見上げて考える。
「今は、そこまで深く考えなくていいだろ。」
そういってポンポンと頭を軽く撫でてくれる。
「哲は…なんでそんなに優しいの?あなたはただのボディーガードではないですか…
いゃ、ボディーガードだからですか…そんなに優しいのは。」
「違う!!」
哲は訴えるように叫ぶ。
「え?」
哲は、私をまっすぐ見て言う。
「俺は昔言っただろ?雪をずっと守り続けるって、
その言葉に偽りはないよ。ずっと傍にいたいって思うから」
哲の顔は真剣だ。
真顔で言っている。
昔の約束…。そんなことを今も果たそうと努力してくれている。
「守るっていうのは約束だから?」
「そうだよ。」
「約束だから傍にいてくれてるんですよね」
「違うよ、俺はそうしたいからしてるの。」
哲は私の手をとって自分の頬にあてた。
「俺は傍にいたいからいるの」
傍に…いたいから。
使命とか約束とか縛るものではなくて自分で心、自分の気持ちだ。
本当に哲は…優しいね。
昔から…ありがとう。
「ありがとう」
私は下を向きながら笑う。
すると哲は私のことを抱きしめる。
「!?」
いきなり抱きついてきたので驚いて硬直状態になった。
哲は…
「どんなことがあっても、俺の命にかけても君を守る。」
と言って離した。
誓い?的なことをしたのだろうか。
よくわからないが哲は笑顔に戻り、私に話しかける。
「ねぇ、雪と天音って奴の関係ってなんなの?」
…聞いてくるとは思ったけどこんなに早く聞いてくるなんて…
私と…天音の関係。
それは・・・
・・・to be continued
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