【三題噺】大変な仕事をする女性
こんどこそちゃんとした三題噺です。なんか5分くらいで考えたので、いろいろ支離滅裂なところがありそうですが……
「そんなに無理しないでください」
とある食料店の男性従業員エイタは、荷物を運ぼうとしている女性従業員に声を掛けた。
「いえいえ、まだまだ……」
その女性は荷物を持とうとするが、力がないせいか、うまく持ち上がらない。
「まだまだって、外を見てくださいよ。あの太陽が見えますか?」
エイタは店の窓を指差した。外はきれいな夕焼け空。
「もう日の入りが近いんです。だから、他の従業員に任せてください」
「いえいえ、まだまだ……」
意地でも荷物を運ぼうとする女性従業員。そこに、別の男性店員が入ってきた。
「おやおや、ハルさん、まだがんばっていたのですか? 大変ですな」
「いえいえ、まだまだ……」
「あ、トヨタさん、聞いてくださいよ!」
エイタはその別の男性従業員、トヨタにこれまでのことを話した。必死にやってくれているのはいいが、荷物を持つのにもう二時間もかかっているという。
「ほうほう、まあ、ハルさんも頑張っているんだ。もう春も過ぎるんだし、こうやってなんとか仕事をしてくれてるんだから、もう少しがんばってもらっても……」
「じゃあ他の仕事をやらせてくださいよ。掃除とか、いろいろあるでしょ?」
「じゃあ、あと一時間もてなかったそうしようか」
「何で一時間も……」
はぁ、埒があかない、とエイタは諦め顔で別の作業に取りかかった。
「エイタ、お前も苦労しているな」
声を掛けたのは同期のシンゴだ。
「シンゴか。お前も言ってくれよ。あの女性にはこの仕事は無理だって」
「まあいいじゃないか。お前もあの女性の教育係にされたんだから、きちんと仕事をさせないと」
「だからあの仕事は無理だって言ってるのに……」
半分泣き顔になるエイタ。
「なるほど、そうだ、道端でお前にふさわしいものを見つけてきたんだが」
と、シンゴはごそごそとポケットから何か取り出した。
「……これは……三つ葉? まあ、春らしいものだな。で、これがどうかしたか?」
「おいおい、気が付かないのか?これが今のおまえ自身だって」
そういうと、シンゴは手にしていたものをエイタに手渡した。
「これが本当の苦労婆だってな」
もう、荷物運びの仕事に六十歳以上の高齢者を雇うのはやめてもらいたいものだ。
三題噺って、こんな感じですかね。おかしいところがありましたら、コメントよろしくお願いします。