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恋は野の鳥
気まぐれで自由気ままよ
いくら甘い言葉を囁いても
その手にはのらないわ、おあいにくさま
嫌って言ったら嫌なのよ
脅かしたって何したって意味のないことだわ
おしゃべりな人も無口なあなたも……
私が好きなのは――あなたに決めたわ!
恋よ、恋よ、と囁くわ
恋は私から生まれたようなもの
あなたが好きじゃなくても私は好き
もしも私が惚れたなら、どうぞお気を付けあそばして
あなたが腕の中に捕まえた野の鳥は
自由な羽根を広げて大空へとはばたいた
追いかければ追いかけるほど遠くに飛んでゆくけれど
諦めた頃、いつの間にかあなたの傍に私はいるの
自由奔放に飛び回り
行って戻って、また遠くへ
捕まえたと思ったら逃げている
逃がしたと思ったら捕まえている
恋よ、恋よ、と囁くわ
私は恋から生まれたの
あなたが好きじゃなくても私はね……
もしも私が惚れたなら、どうかどうか気を付けて
ビゼー作 『カルメン』より ~恋は野の鳥~
ここまでお読みいただきありがとうございます。
次話よりベルナルド視点のお話が始まります。
アゲハ視点だけで読みたい方はもう少々更新をお待ちくださいませっ!