きらきらが大好きな王様
冬の童話祭参加作品です。
あるところに、きらきらしたものが大好きな王様がいました。
王様の住むお城の中には、たくさんのきらきらしたものがあります。金、銀、ガラス……王様のために作られた家具には、たくさんの宝石がちりばめられていました。
しかし、王様はもの足りませんでした。王様はきらきらしたものがどれだけあっても満足できなかったのです。
そこで、王様は考えました。
「町へ行けばたくさんきらきらしたものがあるはずだ。」
王様は、さっそく家来たちをひきつれて町へ出かけました。
しかし、王様の考えとは反対に、町にはきらきらしたものがひとつもありませんでした。あるのは木でできたぼろぼろの家具だけ。
王様はがっかりしました。
そして、すこし考えるとすばらしいアイデアを思いつきました。
「わしがおさめる町なのだから、きらきらしたものがたくさんあるべきだろう。そうだ、感謝するときに宝石を相手にわたすのはどうだろうか。」
王様はすぐにでも町をきらきらしたものでいっぱいにしたかったので、すぐにこのしくみを取りいれました。
しばらくして、町がきらきらしたものであふれかえりました。
王様が好きなエメラルドは、とくにたくさん使われました。エメラルドは緑色のきれいな宝石です。
王様はお城から町を見下ろして満足しました。たくさんの緑色の光が見えたからです。
あるとき、王様は宝石を売る人が来ているといううわさを聞きました。
王様はうきうきで、また家来をひきつれて町へ行きました。
しかし、王様が町で見たのは人間のみにくい姿でした。
町では、宝石はもはや感謝を伝えるためのものではありませんでした。人々はその美しい輝きにすっかりのめり込み、どんな手を使ってでも手に入れようとしていたのです。
うばいあい、盗みなんて日常。時には相手を傷つけてまで手に入れようとする人もいました。
王様はしょんぼりしました。感謝のための宝石が、真逆のことに使われていたのです。
王様は残念でした。宝石はきれいなものなのに、使う人の心で汚されていたからです。
「それなら、感謝はどうやって伝えればいいというのだ。」
悩む王様の目に飛び込んできたのは、子供たちの姿です。
「すこし、わけてあげるよ。」
「ありがとう。」
自らの欲ではなく、相手のためを思っての行動に、王様は強く感動したのです。
そして、町中の子どもは、みんなが笑顔でした。王様に会ったら、みんながほほえみかけるのです。
王様は自分が間違っていた、と宝石の制度をやめました。
価値があるのは、宝石ではなかったからです。
これからこの町で宝石を見ることはないでしょう。みんながおたがいのために動き、ありがとうを伝えあっているのです。
王様はもう、きらきらしたものに囲まれていなくてもだいじょうぶです。人間の笑顔のかがやきに気がついたのですから。




