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天使の彼氏は嫉妬深い? (挿絵あり)  作者: 菟田野すもも


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8/8

第3話:イケメンとカラオケ。波乱の予感?ー③

 ルカは灯里の手を引きつつ、前を見たまま、怒りを爆発させる。


「ほんと、灯里って単純なんだね。イケメンだったら誰でもいいんだ?

 人のことめちゃくちゃだって言うけど、灯里の方がずっとめちゃくちゃだよ!」


 ルカがこんなふうに怒るのを見たことがなかった灯里は、びっくりして言葉を失った。


 全く反応がない灯里にさらにルカは更に苛立ちを募らせる。


「ちゃんと聞いてるの?!」


 そう言われて灯里は素朴な疑問を口にする。

「……なんで来たの?」


「そんなの、灯里が浮気してるからだろ!」


「べ、別に浮気じゃないでしょ。ただみんなでカラオケに行っただけだし……」


「そうかな? 流星くんの次はジヌ推しなんだろ? 明らかに下心あるじゃん」


「別にそんなんじゃないって……

 それに、私が聞いてるのは、”なんであの店に来れたのか”ってことなんだけど」


 そこで、ルカははたと気づく。

「いや、それは、まぁ、なんというか……」

 ルカの視線が泳ぎ始める。明らかに何かを隠している様子で、言葉を濁している。


「何も話してないのにおかしくない? 店まで分かってるなんて」


 灯里の指摘に、ルカはこれ以上は誤魔化し切れないと観念する。

 視線を泳がせ、しばらく口ごもったあと、小さく息を吐いた。


「えっと、実はさ……」

 ルカは渋々、天界にある“人間界モニターシステム”のことを打ち明ける。

 灯里がぽかんとするのを前に、ルカはバツが悪そうにシステムの仕組みを説明していく。

 詳細を説明するにつれ、後ろめたさが募り、言葉はどんどん小さくなっていった。


「は??? 何それ? そんなのプライバシーの侵害だよ! ってかストーカーじゃん!」


「いや、そこは、ちゃんと考えられてて、

 プライバシーに配慮されたシステムで、ちゃんとトイレやお風呂とかの個室は映し出されないようになってて……」


  ルカはゴニョゴニョと説明を続けるが、灯里の目は鋭く、納得はしていない様子だった。


「そんな話してないよ! なんでそんなことするの!? やっぱルカの方がめちゃくちゃだって!」


「それは……」

 ルカはぐっと灯里の方を向き直す。


「灯里は恋愛慣れしてないから、ちょっとイケメンに押されたら、すぐにフラフラしそうじゃん?! さっきだってあんな嬉しそうに、手まで繋いで……本当に心配で……だからほっとくなんてできなかったんだよ!」


 ルカの声には怒りだけでなく、抑えきれないほどの不安と必死さがにじんでいた。

 いつも落ち着いて余裕のあるルカが、こんなふうに自分のことで取り乱すなんて――。


 その驚いた表情を見て、ルカはハッとして、少し息を整える。

 怒りで言葉をぶつけていたことに気づき、今度は静かに、けれどはっきりと口を開いた。


「勝手に覗き見するようなことをしてたのは、本当にごめん……

 それに、灯里がもし他の人を好きになったら、僕には止められないことも分かってる……」


 ルカはまっすぐに灯里を見つめる。

「でも、それでもーー僕は、灯里のことが好きだから、やっぱりまだ諦めたくない」


 その一言を聞いた瞬間、張りつめていた心の糸がぷつりと切れ、灯里の目から涙があふれ出した。


「……ちゃんと気持ちを話してくれて嬉しい

 ルカが何考えてるか、ずっとわからなくて、苦しかったから……」

 

 涙を流す灯里を見て、ルカの胸に申し訳なさが押し寄せる。

 自分が勝手に諦めて、気持ちをちゃんと話さなかったことで、灯里を苦しめていたのだと気づいた。

 

 そっと、灯里の涙を拭いながら、静かに呟く。

「そうだったんだ……ごめん……

 灯里は僕のことを知っていって、幻滅したのかと思ってて……」


 その言葉を聞き、灯里は思わず吹き出す。

「今更幻滅とかないでしょ……さんざん今まで好き勝手やってたくせに」


 ルカと過ごした思い出が蘇り、灯里の顔には自然と笑みが溢れる。

「そんな簡単に気持ちは変わらないよ……」


 灯里の言葉を聞いた瞬間、ルカは心の中の緊張がふっと解けるのを感じた。

 怒りも不安も、いつの間にか溶けていく。視線を灯里に向けると、少し笑みが滲む。

 胸の奥に温かさが広がり、肩の力が抜けていくのを感じた。


 その表情を見た灯里は、少しほっとしてから、心の中に抱えていた不安を口にする。


「……でも、私の方こそ心配だったんだよ……私にとってはルカだけなのに……

 ルカにとって私は、いっぱい付き合った人の中のひとりでしかないんじゃないかって……」


 灯里はまた目を潤ませ、声を震わせる。

「気持ちの重さが全然違うんじゃないかって……ずっと怖くて……」


 ルカはぽかんとしたあと、ふっと笑う。

「……そんなふうに思ってたの?」

「うん……」

「僕にとっても灯里は特別だよ。

 たった1人、初めて好きになった相手だから」


 灯里は胸の奥の引け目がすっと軽くなっていくのを感じる。

「……本当に……?」


 涙をぬぐいながら笑って、まっすぐルカを見つめる。

「私、やっぱりルカがいい。これからあまり会えなくなっても、ルカと一緒にいたい。」

 灯里はキッパリと伝える。


 その言葉を聞いた瞬間、ルカの胸に温かいものが広がった。灯里をじっと見つめ、決意を込めて口を開く。


「……じゃあ、僕、人間界に行くよ。灯里のそばにいる」


「え? そんなことできるの??」


「うん。人間界には、少し特殊で面倒な仕事があって、一般の人はあまり知らないんだけど……」


 ふわっと笑いながら灯里に向き合う。

「灯里と一緒にいたいから、やってみようと思う」


「本当に……!?」


 灯里は驚きと嬉しさで、顔いっぱいの笑顔を浮かべ、ルカに抱きつく。

 その笑顔を見た瞬間、ルカの胸に温かいものが広がり、自然と頬が緩む。

 可愛くてたまらなくなったルカは、思わず灯里の頬にそっと手を当て、じっと見つめた。

 嬉しさと愛おしさが混ざった感情に、自分でも少し驚いていた。


 しかし、灯里が一瞬肩をすくめたのを見て、ハッと手を離す。

「ごめん、灯里が嫌がることはしないって言ったのに……」


「いや、別にあれは嫌だったわけじゃなくて……急でびっくりしただけだよ」

 少し照れた灯里は目を伏せ、言葉を詰まらせながら本心を伝える。

 

「え? じゃあ、いいってこと?」


「……あ、いや……いきなりすごいのは困るけど……」


 おずおずとした物言いと、少し照れた様子が可愛らしく、ルカは目を細める。


「すごいのじゃなかったらいいんだね?」

 ふふっと笑いながら肩に手を置くと、灯里は思わず体を縮める。

 そのままルカは愛おしそうに灯里を見つめ、そっと唇を重ねた。

 

 触れ合った瞬間、灯里の心臓は跳ね上がる。

(わ、わ……こんな感じなんだ……)

 

 顔を離して灯里の表情を確認したルカは、思わず微笑む。

「ほんと、照れすぎだって」


 真っ赤になった灯里は必死に視線をそらし、手を握りしめながら動けずにいた。


「これからずっと人間界にいるんだから、もうちょっと慣れてもらわないとね」


 イタズラっぽく笑うルカに、灯里も照れながら笑みを返す。


「あとはまたフラフラしないように、チェックしないとなぁ」

「……もう覗き見はやめてよ」

「もうしないよ。だってそばで直接監視できるからね。」

「……それもダメだって!」


 夜空に二人の笑い声が響く。

 その音は、これからの未来を照らすように優しく広がっていった。








 ここまでお読みいただきありがとうございました!

 感想や下の☆からの評価などいただけたら大変励みになります。


 もしご興味ありましたら、前作も読んでいただければ嬉しいです。


 またこれは長編のスピンオフ作品なので、いつか本編の長編作品も投稿できたらと思っています。

 ありがとうございました。

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