第1話:天使の彼氏の恋愛遍歴ー②
翌日、学校。
昨日のルカとの会話を引きずっていて、灯里の気持ちは晴れなかった。
(なんかルカと私って最近噛み合わないこと多いな……
毎日会ってる時はこんな気持ちにならなかったのに……)
どんよりした様子の灯里を見て、友達が声をかけてきた。
「灯里、どうした〜? 元気ないじゃん」
奈々が心配そうに覗き込みつつ、明るく尋ねる。
灯里は小さく息をつき、困った顔で目をそらす。
「なんか彼氏とうまくいってないらしいよ」
彩花は少し落ち着いた調子で、からかうように付け加える。
「……そっか! 灯里、そういう時こそイケメンだ!イケメンは全てを解決する!
ほら、流星くん見て癒してもらうんだ!」
奈々がスマホ画面を見せてくる。
「……いや〜、実は私、推し変したんだよね……!」
灯里は少し気まずそうにしながらも、友達に心配かけまいと、わざと明るくおどけた調子で答える。
元々大好きな推し俳優だった月城流星。
ルカはその流星にそっくりで、それが契約のきっかけだった。
でも今は、逆に流星を見ると、ルカの顔しか浮かばくなってしまった。
ラブシーンなんか始まったら……ルカが他の女の子とイチャイチャしてるみたいで直視できない。
だから泣く泣く“推し変”するしかなかったのだ。
「えー!? 推し変!?」
奈々と彩花が思わず声を揃えて驚く。
「そうそう!で、今はこっち!」
灯里はわざと大げさにスマホを掲げ、K-popアイドルのジヌの写真を見せる。
「おぉー!さすが灯里!もうジヌまでチェックしてたんだ!ほんとイケメン情報に抜け目ないよね〜」
奈々がテンション高く返す。
「いやいや、それほどでも……あるけどね〜」
奈々の言葉に灯里も笑顔になり、得意げに続ける。
「流星の次はジヌか〜。
ただイケメンってだけじゃなくて、ダンスも歌も上手いし!いいとこ突くね!」
彩花もうんうんうなずきながら続け、ふと思い出したようにいう。
「あ、ジヌといえば……
今度、他の学校の友達とカラオケに行くんだけど、ジヌ似のイケメンも来るらしいよ!灯里も来なよ!」
彩花はノリノリで誘うが、灯里の笑顔は引きつり、固まってしまう。
頭にはルカの顔が浮かび、とてもそんな気分にはなれなかった。
「え……いや、さすがにそれは……彼氏に悪いし……」
友達2人は顔を見合わせてため息をついた。
「えー、灯里硬すぎ! 二人っきりで出かけるわけじゃないんだよ!
イケメンの顔拝みに行くだけ。癒されてパワーもらおうよ!」
奈々が軽く煽る。
「うーん……私はいいかなぁ」
前なら絶対、イケメンって聞いただけで飛びついてた。
でも今は――頭に浮かぶのはルカの顔ばかり。
全然会えないし、ルカとは気持ちの重さが違うように感じて、不安になるけど……
(それでも、他の人には全然興味がわかないんだよね……)
奈々と彩花は、灯里の曇った表情を見て、またため息をつくしかなかった。




